佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

獅子文六

戦争末期の「あたしバカだからさあJAPAN」【獅子文六『一号倶楽部』】

自称「頭が悪い」女性が、軍人のあるべき姿を語る小説 東京ポッド許可局の「あたしバカだからさあJAPAN」には笑ってしまいました。「私バカだから良く分かんないけど、アンタって◯◯だよね」。こうスバっと言ってくれる、美保純的な人をイメージした言葉だそ…

【戦場は君たちを待つ】少年兵募集の雑誌『海軍』

なかなかツラい本を入手しました。少年兵募集に重点を置いた雑誌『海軍』の創刊号です。(昭和19年5月/大日本雄弁会講談社)。表紙には「戦場は君たちを待つ」の文字が…… 昭和19年5月『海軍』創刊号(大日本雄弁会講談社) 目次を見ると、もはや雑誌という…

【戦時ラブコメ@蒲田】獅子文六『虹の工場』

戦時ラブコメは、設定がむずかしい 昭和の人気作家・獅子文六の『虹の工場』(新潮社『日の出』昭和15年1〜12月連載)は、いわば戦時ラブコメです。 【巨大軍需工場のお坊ちゃん】と、【町工場の職工】が、ひょんなことから同じ女の子(キャフェの女給)を好…

【チャラ男はインフルエンサー】獅子文六『売屋』

最近、お笑いトリオ「ぱーてぃーちゃん」を知りました。チャラ男1人にギャル2人という設定(?)のグループです。 私はお笑いをよく知らないけれども、けっこう動画をみてしまった…。特に「チャラ男」役の人には、博多大吉先生的な何かを感じました。 獅子文…

「ビートDEトーヒ」/逃避したくなる時代と、獅子文六

獅子文六と【戦争→敗戦→どん底からの復興】 かまいたち濱家が歌っている「ビートDEトーヒ」。ダンスは可愛いけど、歌詞はけっこう暗いんですね。“ポップなビートで、トーヒ(逃避)したい。つらい現実から目をそらしたい”みたいな内容で。 #ビートDEトーヒ踊…

オシャレな椅子に“横向き”で座る人たち(『デスノート』・獅子文六『胡椒息子』)

今になって『デスノート(テレビ版)』を見ています。(脇役で、ひいきの俳優が出ていると聞いたもんですから)。「L」は、ソファに“横向き”で座る人なんですね。だるそうなのに、ツルン!と上手に座るからつい感心してしまう。 スポニチアネックス 2015年7…

日比谷公園で国葬をしていた時代

日比谷公園の国葬風景(東郷平八郎)【昭和9年6月】 いきなり国葬が決まって、モヤモヤしています。 先日、日比谷公園の国葬(東郷平八郎)記事を読めるサイトを見つけたので、参考までにご紹介しますね。日比谷公園といえば、野音やオクトーバーフェスト、…

獅子文六『海軍』と、出刃包丁

青春感MAX(?)の物語、獅子文六『海軍』 2022年7月、こんなドラマがはじまるそうです。公式ツイッターの謳い文句には 「青春感MAX 」とありました… さて「青春感MAX」といえば、ユーモア小説家の獅子文六が、本名の岩田豊雄で書いた『海軍』は、ある意味「…

B29とコーヒーと恋愛【獅子文六『コーヒーと恋愛』連載開始60周年】

敗戦から『コーヒーと恋愛』までは、17年 仲間由紀恵の「トリック」(第1作は2000年)も、クドカンの「木更津キャッツアイ」(2002年)も、20年前のドラマだってご存じでした?いやあ、月日のたつのは早いものです。 獅子文六『コーヒーと恋愛』(可否道)に…

和平運動秘話『揚子江は今も流れている』

「頭のいい連中や、落ちついた連中」の日中和平運動秘話 youtu.be 私が「TENET(テネット)」を見たときの感想は、「戦争を阻止しようとする青年たち。よくわからないけど、すごく大変そう」という、ぼんやりしたものでした。 今回ご紹介する『揚子江は今も…

漫画に描かれた「欧州大戦」のニュース

2022年2月末、世界は大変ことになってきました…。今日は、1939年(昭和14)秋の「欧州大戦勃発」をテーマにした漫画をご紹介します。描かれているものをすべて鵜呑みにするわけにはいきませんが、何かしら今と共通する点が見つかるかもしれません。以下の画…

獅子文六『おばあさん』と現実のギャップ

「伝統的家族観」という言葉が、SNSで話題になっていましたね。昭和の人気作家・獅子文六『おばあさん』も、どちらかというと“伝統的家族”にカウントされてしまいそうな小説です。チャーミングなおばあさんを中心に、3世代がわちゃわちゃしているのですから……

獅子文六『やっさもっさ』の時代

獅子文六の『やっさもっさ』(1952)は、朝鮮戦争(1950-1953)の時期に新聞連載されました。 舞台は横浜。「国は破れ、山河とパンパンだけが残った」横浜で、混血児の孤児院を中心にストーリーが展開していきます。先日、その孤児院をイメージさせるカラー…

獅子文六と戦争をテーマにしたジンを販売中です

戦争に突入する時代をテーマにしたジン『認識不足時代 ご時勢の急変と獅子文六』を作りました。BOOTHで販売中です。「あんしんBOOTH パック」(ポストに投函・匿名配送)でお送りします。 ninshikibusoku.booth.pm ビリケン商会(青山)・オヨヨ書林新竪町店…

獅子文六『胡椒息子』の時代

『胡椒息子』の連載と、時代の急変 私は、昨年(2020)『ご時勢の急変と、獅子文六』という冊子を作りました。その中で、“時代の潮目がグッと変わった頃”の作品として紹介しているのが『胡椒息子』です。『胡椒息子』は、雑誌に1年間連載しているうちに世の…

獅子文六『断髪女中』と軍需景気

獅子文六の短編『断髪女中』(昭和13)は、日中戦争がはじまった時期の女中不足がテーマ。「 今度の事変が始まって、直接間接の軍需景気が、一度にドッと女中適齢期の女子を工場に吸引」したから、さあ大変!がんばらないと女中さんを見つけられなくなってし…

原節子のベルリン通信【日独合作映画『新しき土』】

昭和12年、原節子はベルリンで映画『新しき土』の舞台挨拶をしていました 昭和12年の初夏(1937)、「原節子・ベルリン写真通信」が「主婦之友」に連載されました。なぜ彼女がベルリンに行ったかというと、日独合作映画『新しき土』(『Die Tochter des Samu…

コロナ禍の5万RTツイートと、獅子文六『おばあさん』

コロナ禍のツイートと、「古き良き時代」のマジック 2021年9月6日時点で、約5万RT・11万いいねがついているツイートです。私はこれを読んで獅子文六の戦時中の小説『おばあさん』を連想しました。深刻な状況は後世に伝わりにくいという意味で…。今日はその話…

堀内誠一と伊勢丹【14歳で伊勢丹の「装飾係」に】

敗戦間もない頃の伊勢丹で働いていた堀内誠一 もう10年くらい前の話になりますが、堀内誠一の展示「旅と絵本とデザインと」を世田谷美術館で見たことがありまして、その時の印象は「炸裂しているなあ!」でした。堀内誠一が手がけた『anan』や『平凡パンチ』…

「銃後のハナ子さん」その1 轟夕起子とハナ子さん

轟夕起子をモデルにした漫画「銃後のハナ子さん」 引用元:日活サイト 市川崑監督の『青春怪談』(昭和30)で、丸々としたお母さん役だった轟夕起子。垂れ目で天真爛漫で、本当に可愛かった。 しかしその十数年前、彼女はとっても細かったのです。戦前〜戦中…

野戦病院・『M*A*S*H 』・獅子文六『やっさもっさ』

野戦病院と『マッシュ』 2021年8月。新型コロナの感染者が急増し、SNSでは「野戦病院」という言葉をたびたび見かけるようになりました。あぁぁぁ。 そして「野戦病院」を描いた映画といえば『マッシュ』(1970)です!『マッシュ』は、「Mobile Army Surgica…

1950年代のスーベニアショップ

スーベニアショップいろいろ 2021年7月末の日本は、酷暑と感染拡大で「おもてなし」どころじゃないけれど、70年ほど前の日本は、ある種の“おもてなし”モードにありました。したがってスーベニアショップも多かった。今日はそれをざっとご紹介しますね。 nara…

流行語の「認識不足」と獅子文六

「あらまあ認識不足よ(リットン程ではないけれど)」という曲がきっかけで、獅子文六のジンを作りました 獅子文六といえば『コーヒーと恋愛』(昭和37)。テレビの女優が主人公なので、“獅子文六は戦後の流行作家かな?”と思われるかもしれません。しかし『…

飲み会を夢見る時代 (『男の友情』獅子文六)

新型コロナによる自粛期間中、「オレの考える最強の飲み会」をツイートする人が増えました。夜遅くまで騒いで、大通りで酔いをさまして、さらに公園でおしゃべりを続けて…みたいな。ことに表現のプロがツイートする“最強の飲み会”は、映画館なみの臨場感。読…

獅子文六『悦ちゃん』から生まれた少女スターと、戦争

「東京五輪は、どうなるの?どうなっちゃうの?」みんながヤキモキしている2021年5月。 ご存知の方も多いと思いますが、かつて日本はオリンピックと万博を急停止したことがありました。今日は、そんな時代に活躍した少女スターをご紹介します。彼女は、獅子…

綴方教室と、獅子文六の「団体旅行」

映画「綴方教室」と、獅子文六の「団体旅行」 昭和13年の雑誌を見ていたら、映画「綴方教室」の作者、豊田正子が出ていました。当時17歳くらい。ふっくらと愛らしい顔立ちです。 豊田正子は「綴方教室」で有名になった人。そして、獅子文六の短編『団体旅行…

非常時と、獅子文六『金色青春譜』

獅子文六『金色青春譜』は、贅沢と非常時のミルフィーユ 昭和の人気作家・獅子文六のデビュー作「金色青春譜 (昭和9年/ちくま文庫) 」は、大金持ちの未亡人と、ケチな美男のラブコメです。 カタカナの贅沢品がどっさり出てきて楽しい!たとえば2ダースのシ…

新興国 満洲へ

失恋したら満洲へ みんな大好き獅子文六「悦ちゃん」(昭11)から、悦ちゃんのパパ「碌さん」が失恋した時のシーンです。満洲行きは、当時の失恋あるあるだったのでしょうか。 実際、碌さんは、病人のようになった。(略)女に嫌われて、そんな反応を起こす…

女給が出征?(獅子文六『女給双面鏡』)

獅子文六「女給双面鏡」と出征 獅子文六の『女給双面鏡』(昭和13)は、大島弓子の「つるばら つるばら 」を連想させる作品です。内容はかなり違うけど。 主人公は、幼い頃から女の子に間違えられてきた青年。彼はどの仕事をやってもうまくいきません。仕方…

獅子文六と「ス・フ」(ステープル・ファイバー)

獅子文六の「ス・フ」ネタ みんな大好き獅子文六。 獅子文六がユーモア作家としてブレイクした途端に、世の中は戦争モードになりました。なので、初期の作品中に「ス・フ」=ステープル・ファイバーがたびたび登場するんです。しかも“ここが、笑うポイントで…

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