花柳病

私の「はてなID」の元になっている、小出楢重随筆集 (岩波文庫)

芸術家が書いたエッセイなのに、すべてが「てへっ」「とっはぁ」(薫の秘話)と、照れまくっている感じなんですよ。

その芸風のモトは、育った環境にあると思う。

小出楢重の実家は「一子相伝の花柳病専門薬」を製造している薬屋さん。屋根の上には巨大な「亀の看板」があったそうです。(メタファーっすね)

花柳病の薬なので、子供の頃は家業のことがいまいち、わからなかったらしい。

とにかく私は私の家が何屋さんで父は何をしているのか、屋根の亀は何んのまじないであるかについても永(なが)い間全く無意識だった。


その頃は薬屋が医者の如く、診察してもかまわない時世だった。私の家の店頭は朝から、弁当持参のいろいろの男女の客で埋っていた。


彼らは何をしに来ているのか、これも私にはわからなかったが、ただ人間というものは、私の店に来って順番に父から妙な場所へ膏薬を貼ってもらうものだと信じていた。


私はこの膏薬の効能書を丁稚とともに大声で鉄道唱歌の如く合唱したものだった。即ち、かんそ、よこね、いんきん、たむし、ようばいそう、きりきず、腫れ物一切、女○○のきずといった具合に。

連日、「妙な場所へ膏薬を貼ってもらう人」を見て育つと、人生に陶酔しづらいでしょうなー

小出楢重は、大阪の市民博物館にこの亀を寄付したらしいのですが、今もあるなら見てみたいものです。

広告を非表示にする