佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

美人薄命と、洋装

但馬太郎治伝 (講談社文芸文庫)


戦前のパリで、東洋の貴公子(堂々とした美男でプレイボーイ)が、想像を絶するゼイタクをする話です。モデルは薩摩治郎八


私が気になったのは、そんな東洋の貴公子の妻=マダム但馬の一生でした。


モッサリした華族の令嬢がパリの水に磨かれて、「気品のみならず、イットだってある」「あまりにもパリ的な、完全パリ製美人」に変身し、パリ社交界の人気者になっていくのです。


しかし華やかな生活は、えらく短かった!


若い(本の中では22、3歳くらいと推測されている)、天真爛漫なマダム但馬は喀血してしまうのです。健康そうな肉付きの八頭身美人だったのに。


パリを去った彼女はスイスのサナトリュウムに入り、長い療養生活の後、44歳で寂しくこの世を去るのでした。(しかも、病菌恐怖症の但馬氏は、お見舞いにとっても消極的。)


■マダム但馬の薄命の原因の1つに、「肩や腕をあらわにしたソワレ(夜会服)」があったようです。


学習院時代は銘仙にくるまれていた地味な少女が、連日、露出の多いドレスをまとい、慣れないお酒を飲み、パーティーが終わったあとも夫のゼイタクな夜遊びにお供する…………。これはキツかったでしょう。

夜会の招待が多ければ、彼女も腕や肩を露わにしたソワレを着なければならぬが、彼女は、そういう服を着ることをパリにいってから覚えた。


そして、よく、感冒にかかった。でも発熱を知りながら、女主人として出席せねばならぬ場合がよくあった。


但馬夫人はパリで、あんな上流生活をしなかったら、肺結核なぞに罹りはしないと、Y夫人はいうのだが、あるいはそうかもしれない。


マダム・タジマは、夫の莫大な財産のおかげもあって、素早く「完全パリ製美人」の風貌を手に入れることが出来ました。でも、カラダの中身までは、急に変えられないですよね〜



■推測にすぎませんが、今みたいなクスリのない時代、「肩や腕をあらわにしたソワレ」って、カラダの厚み遺伝子(とか、耐寒遺伝子)みたいなものを隠し持つ国の人が着て、ぎりぎりセーフな装いだったのでは?


日本人には、まず不可能なカラダの厚み。*1(でも顔は細い・・・)



マリアンヌ(フェイスフル)さんも、カラダの厚み遺伝子を持っていた?


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