■本郷育ちの方から聞いた話
「明治生まれの母は、キモノしか着ませんでした。夏は家の中では仕方なくアッパッパ(簡単なワンピース)を着ていましたが、なにか締めてないとイヤみたいで、アッパッパの上から伊達締め(画像↓)をしていました。
パジャマの時も、パジャマの上から伊達締めをしていました。入院する時に、病院から浴衣はダメだよと言われたのですが、母はパジャマが嫌いでした。だからパジャマはボタンで閉じないで、前を浴衣みたいにVの字に合わせて、伊達締めしていました。とにかく前をVの字にあわせて、帯のようなもので締めてないと落ち着かなかったんです。
年をとってからは、ぜん屋の草履を重く感じるようになり、温泉街で売っている安くて軽い草履ばかりを履くようになりました。」
“お年寄りが洋服の上から帯を巻いてしまう”という漫画は、ギャグではなくて実話だったんですね、
このような近い過去が見え隠れする時代、「むかしママが好きだった ブーツはいて いこう」(1973年 荒井由美)的な歌詞は、すごく輝いてみえたんだろうなあ。