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空から父が降ってくる

■「母たちの島」(ジュディ・バドニッツ 岸本 佐知子訳)を読みました。


ある島に、敵国の兵士たちがパラシュートでいっせいに降りてきて、島の女に恋をします。彼らは、来たときと同様、急に去っていく。島の女の腹は大きくなり、母親とは似ていない子ども達(赤い髪、緑の目)が大勢生まれるという話です。



かつての日本でも似たようなことありました。昭和館で昔のニュース映像を見ると「戦争が生んだ運命の子ども達」として、駐留軍の去った基地の街に、母親とは風貌の異なる子どもたちが取り残される様子が映っています。(ニュースの例 “昭和28年春 小学校に入学する混血児293名・神奈川県”)



参考画像 敗戦後の都会の一コマ。(LIFEのサイトより)

参考画像 日本の孤児院です。


カート・ヴォネガットの「孤児」という短編にも同様の状況が描かれています。舞台はドイツの米軍占領地区の孤児院で、戦争の落とし子と思われる幼児達が収容されている。


主人公は、“青い目と褐色の肌”をあわせ持つ幼い孤児で、彼はドイツ語しか喋れません。孤児院のシスターが彼に適当につけた名前は、“カール・ハインツ”。母はドイツ人で父はチョコレート色の肌をした「アメリカの兵隊」という設定です。以下「孤児」より抜粋。

「シスター、ぼくはアメリカの兵隊の子供?」
「だれがそんなこといったの?」
「ペイターだよ。ぼくのお母さんはドイツ人で、お父さんはアメリカの兵隊なんだけど、どっかへ行ってしまったんだって。それでね、お母さんもぼくをシスターのところにあずけると、どっかへ行ってしまったんだって。」


「シスター」とジョーは言った。「アメリカ人て、みんなぼくみたい?みんな褐色?」
「褐色の人もいるし、そうでない人もいるわね、ジョー」
「ぼくみたいな人たちもたくさんいる?」
「ええ、いるわよ、とってもたくさん」