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究極すぎる編み物

石井好子の自伝エッセイ「さようなら私の二十世紀」を読む。


石井好子さんのご主人・土井氏は、かつて特攻隊員だったそうです。その土井氏が、胃がんの弟(映画監督の土井通芳)を見ていたたまれなくなっている時、いきなり編み物をはじめるエピソードが印象的でした。

「編み物をする」と土井がいった時、「エッ」と聞き返した。


特攻隊で出撃を待つ間、隊員たちは心の動揺が隠せず、編み物がはやったのだそうだ。「ただただ目を追って編み続けることによって心が落ち着くんだ。飾り編みだってできるよ。」私たちは編み物をはじめた。


土井は模様通りきっちりと編み、私は編み目を落としたり、形の定まらぬスカーフを編んだ。通芳が臨終の横についている時も私は編み物をしていた。

石井好子さんは、獅子文六の小説「バナナ」(昭和34年)*1に、大臣の娘でありながら有名なシャンソン歌手になった「市井スキ子」として、ちらっと出てきます。

*1:国籍とビジネスチャンスの関係なども描かれている小説

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