ピンとくる比喩

昭和40年に出た「からだの手帖」(高橋 長雄・講談社) 。チェロの好きな札幌のお医者様*1が、昭和38年から新聞に連載した健康コラムをまとめた本です。


軽妙洒脱な文章に、真鍋博のSFなイラストが添えられています。


が、からだの比喩が戦時中すぎて、未来風イラストとの差がすごいことに。


敗戦から20年経過したころの健康読本ですから、比喩は当時の読者層にもっともピンとくる言葉を選んでいるのだと思いますが…


例をあげると、皮膚感覚は「哨兵所」、免疫は「堡塁」。


その他、戦犯、学徒出陣、鉄や繊維工場の操業統制、などのたとえが出てきます。*2

「細菌が侵入すると、警備要員が非常召集され、同時に警備要員の増員が行われる。増員が間に合わないとかつての日本のように、未完成の兵隊まで動員される。」



「副腎は軍需大臣からの戦闘資材増産命令をうけた工場のように、さっそく増産にとりかかり、設備投資をして工場をどしどし拡張し」

という感じ。


抜粋してしまうと、ものものしい感じになりますが、おおむね穏やかで親切な文章です。


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*1:この先生は、人間の骨格を北海道の海岸線に喩えたりする場合もあるのですが、それは他の地域の人にはちょっとわかりにくいorz…

*2:比喩が戦時中といえば、獅子文六の「青春怪談」(昭和29年)で、“令嬢達が男前を見る時の視線”を「敵機を追う探照灯」と書いているのを思い出します。

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