急にいなくなった母娘

70代の方から聞いた話。
敗戦から4年たった頃の下町のエピソードです。

家の近所に、ある大臣の2号さんが住んでいました。彼女の娘が、中学で私と同級生だったのです。


その大臣が死んだ後(※失踪後、怪死した。占領下日本の大事件。今でも迷宮入り)、その2号さんと娘はいつのまにか居なくなりました。どこかに越したんでしょうね。学校でもその娘がいなくなったことについては、特に何も言われませんでした。新聞記者が押し寄せるということもなかった。


2号さんの見た目は、本当に普通で、普通〜の洋服を着ていました。夜、ちゃんとお化粧すると綺麗になるのかもしれません。家もそのへんの家と同じ普通の家でした。


ただ、まわりのお母さん達とずいぶん雰囲気が違うなあ!とは思ってました。その頃のお母さん達は、割烹着を着て元気に働いていたから。


私の家の回りは、商店が多かったけれど、裏は芸者さんのいる町でした。2号さんも、もともとそこの芸者さんでした。新橋とか葭町よりもずっと落ちる場所だけれど、そういうとこの方が、かえって目立たなくて(大臣は)行きやすかったのかもしれないですね。


【参考画像】 こちらは“新橋”出身の新夫人(昭和5年「ウルトラじんた」田中比佐良)↓