佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

大塚の、揺れる芸者

まんが家・杉浦幸雄のエッセイ(「杉浦幸雄のまんが交遊録」)に、大塚の花柳界のエピソードがあったので引用します。

独身時代に、大塚の花柳界の待合遊びの味を、漫画家集団の遊び人どもに輸入したのも村山氏(村山しげるのこと)でした。

それまでは、女郎買いしか知らなかった連中たちです。昔は、1人10円もあると、まず銀座の小料理屋で、刺身か生ウニなんかで一杯やって、下地をつけてから、市内1円均一だから「円タク」と呼ばれていたタクシーを、50銭くらいに値切って大塚へ行きます。待合へあがって芸者をあげて、スチャラカチャンチャンと酒盛りをして、やがて頃合いを見はからって今まで騒いでいた芸者と別室へしりぞきます。 

大塚の待合は国電の線路の近くなので、電車が通る度にゴトゴトと揺れます。その揺れにあわせて、こちらも揺れて…。貨物列車でも通るとその揺れの長いこと。

翌朝、ゆっくり目が覚めると、相方の芸者の給仕で、ノリに卵におみおつけ、といった朝食をとり。そして10円でお釣りがくるくらいだったのです。

現在、大塚の駅前は「星野リゾート」が手がけたホテルや、昭和を模した真新しい(張り子の)飲み屋街などもできています。街を昭和のテーマパークにしているんですね。しかし「星野リゾート」も、“都電の揺れにあわせて、こちらも揺れる”ような仕様のホテルは、つくならいことでしょう(笑)

杉浦幸雄のまんが交遊録

杉浦幸雄のまんが交遊録

 

 

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