いくさの周辺

東京行進曲・モスコー行進曲

獅子文六の「浮世酒場」(昭和10年「新青年」連載)には、シベリア帰りの男が酒場で、クレムリンやモスコーでの経験を虚実とりまぜて話すシーンがあります。以下引用。 「非常時どころか、ジャズで踊って、ウオッカで更けて、明けりゃ闘士の涙雨という、モス…

目印としての富士山

maraudersREVsmall pixel | mike skidmore | Flickr 獅子文六が、敗戦後、読売新聞の誘いで「平和号」という飛行機に乗った時のエッセイに、"道しるべ"としての富士山が出てきました。 じきに駿河湾。バカにならぬ景観である。富士山はどうしても、日本本土…

羽田空港と、角砂糖っぽい建物

獅子文六の「胡椒息子」に、富豪の家庭の少年少女が羽田空港に遊びに行くシーンがあります。羽田空港で「エア・タクシー」に乗り、「東京の空の散歩」をするつもりなのです。(話の展開上、「エア・タクシー」には乗り損ねるのですが)以下、羽田の描写を引…

朝鮮戦争と聖路加病院

以前、吉田豪さんが"芸能人の本を読む時は、同じ出来事を複数の人の著書で読むと、立体的になってくる"というようなことを言っていました。例えば、ある宗教について、"勧誘する側の芸能人が書いた本"と、"その人に勧誘された経験を書いた芸能人の本"を読み…

ヒリヒリする「ユーモア小説」

久しぶりに、獅子文六の「南の風」を読み返しました。 南の風 (朝日文庫) 作者:獅子文六 発売日: 2018/06/07 メディア: 文庫 「南の風」の裏表紙に「幻のユーモア小説」とありますが、これ、新型コロナの時代に読みかえすと、けっこうキツいです。以前は、ふ…

国民服の着こなし

国民服の広告(昭和16年5月のアサヒグラフ)です。「国民服」「興亜の晴衣」とはいうものの、イラストは、彫りの深そうな、10頭身の人が着ていますね。昭和15年11月に国民服令が出たので、ちょうと半年たったころでしょうか。 実際に、着ている写真をのせま…

昭和11年(1936)の古関裕而

昭和11年4月号(1936)の雑誌「ホームライフ」に出ていた広告です。コロンビアレコードの軽量蓄音機。軽量をアピールするためか、若い女性がしなやかに踊っています。 左側の新譜欄に、古関裕而の名前が〜。 古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家 (文春新…

古関裕而と、国境の地名

古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家 (文春新書) 作者:真佐憲, 辻田 発売日: 2020/03/19 メディア: 新書 古関裕而 の本を読んでいます。軍歌のヒットを飛ばした小関が、1939(昭和14)満洲を視察する様子に興味津々。中でも、小関が自伝の中で"朝鮮の地名…

「ピーターラビット」 と、時局成金

映画の「ピーターラビット」 のことを食わずぎらいしていました。どうせ、可愛いウサギと、こぎれいな白人の映画だろと思っていたのです。見てみたら、こぎれいな白人の恋愛が、けっこうメタな感じで笑えた。「はははは、つかまえてごらんなさい」みたいな高…

小池都知事の「打ちてし止まん」(「撃ちてし止まむ」)で思い出したことなど

寺田寅彦随筆集(岩波文庫)第4巻284頁に、昭和9年の日劇の閉鎖が出ていました。有楽町の日劇(現在のマリオン)は昭和8年の12月にオープンしましたが、昭和9年の9月に閉鎖って早すぎる!と思いましたので引用します。 「陸の竜宮」と呼ばれる日本劇場が経営…

城戸崎愛さんと、松本清張と。

戦火とドーナツと愛 (be文庫) 作者:由井 りょう子,城戸崎 愛 発売日: 2004/06/18 メディア: 文庫 戦時中に女学生だった城戸崎愛さんの自伝です。野中モモさんの記事で知り、早速、購入しました。最近の私は松本清張脳になっているのでw、「戦火とドーナツと…

近衛内閣とキャサリンヘップバーン

私は洋画に詳しくありません。なので、キャサリン・ヘップバーンもカトリーヌ・ドヌーブもブリジッド・バルドーも、いっしょくたに「昔の人」「お洒落の手本にされる人」でくくっていました。下の写真は映画「旅情」です。もう!永遠のお洒落さんですね。 キ…

国境の観光

↓これは昭和3年の「現代漫画大観・日本巡り」に出てくる朝鮮「新義州」のページ。昭和3年の本なので「日本巡り」に朝鮮・台湾・樺太などが出てくるのです。日本の名所として鶴ヶ岡八幡宮(鎌倉)と、ピョンヤン(朝鮮)が同じ本に紹介されているという‥。 解…

建物の原型がわからないケース

私が子供だった昭和の頃は、戦前の建築がまだ沢山残っていたようなのです。「ようなのです」と煮え切らないのには理由があります。戦前のビルは改造されたり広告が沢山貼られたりして、原型が全然わからないケースがあったから。(例・有楽町日劇、数寄屋橋…

八丈島に応召

東京都中央区が出している「中央区の女性史」。中央区の年配女性(立場が色々!)の聞き取りで内容が濃いです!私も中央区出身の人間。少しずつ感想や情報をまとめていきますね。 No.5「空襲で3回も被災」新川の印刷業の一人っ子として生まれた女性の話。以…

戦中・戦後のドレスメーカー学院

東京都中央区が出している「中央区の女性史」、いろいろな立場の中央区の年配女性の聞き取りで内容が濃いです!少しずつ感想や情報をまとめていきますね。 No.1「好きな洋裁で身をたてる」:銀座8丁目在住の方が、戦時中、山脇を卒業後、ドレスメーカー女学…

日本海中心時代来る

日本海中心時代来る(北日本汽船株式会社)というポスター。 各地支代理店の中に、今でいう北朝鮮の港(清津 羅津 雄基)が含まれています。 ちなみに、以下は代理店のあった「清津」の郵便物。 「観光の清津」「記念スタンプ用」「北鮮随一の大都」と書いて…

慰問あれこれ

Christina Aguilera - Candyman (Edit) 日本の場合、戦地に慰問というと内海桂子師匠が満州に巡業☆的なイメージですが、アメリカは派手そうですね。 クリスティーナ・アギレラ「キャンディマン」は第2次大戦中の設定。メイクが戦時中の看護婦さん募集ポスタ…

ソウルに行ってきました

ソウルに行ってきました。「新世界百貨店」という、戦前は三越だったデパートを見るためです。知り合いの老婦人は少女時代、ここで買い物をしたと言っていました。(屋上には、デパートによくあるお稲荷さん【三越京城支店稲荷社】まで存在したそうです‥‥。…

夜電波と、母

菊地 成孔さんがポッドキャストで語る大久保〜新宿と、私の母の幼い頃(昭和15~19年)の行動エリアがかなり重なることがわかって驚いています。 「粋な夜電波」でのその地域は、愛の玄人が闊歩する不夜城…ですが、母の一家は愛のド素人ぞろい。イメージが違…

日比谷で名取洋之助展

6月26日(火)まで日比谷図書館でやってます ▪️5月12日はトークショーに行きました。一番印象に残ったのは、戦時中に名取洋之助が手がけた豪華雑誌には「読者が見えない」という言葉です。一応「戦時中の対外宣伝用」いうことになっているけれど、海外の図書…

報道写真とデザインの父 名取洋之助

日比谷図書館で名取洋之助展をやっています。 明日12日(土)14時からトークイベントがあるので、行こうと思います。 (要事前予約。図書館に問い合わせたところ、当日でも入れるかも…とのことですが、予約した方が確実のようです。) 新しくなった日比谷図…

ピンとくる比喩

昭和40年に出た「からだの手帖」(高橋 長雄・講談社) 。チェロの好きな札幌のお医者様*1が、昭和38年から新聞に連載した健康コラムをまとめた本です。 軽妙洒脱な文章に、真鍋博のSFなイラストが添えられています。 が、からだの比喩が戦時中すぎて、未来…

布を編むように

絵のある自伝作者: 安野光雅出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (10件) を見るこの本で、絨毯爆撃は、本当に「編むよう」にすることを知りました。 一列に並んだ爆撃機が縦一列に焼夷弾…

洋風禁止

日比谷公園内のアーカイブカフェで売られている「日比谷公会堂想い出エピソード」*1。80歳前後の方が日比谷公会堂にまつわる文章を寄せています。 ほとんどの寄稿者が敗戦時にティーンエイジャー(又はそれ以下の年齢)なので、想い出話も「戦後」がメイン…

男装ティーム

『松竹歌劇の60年−レビューの舞台とスターたち』展という興味深い展示があることを教えていただきましたが、体調不良でなかなか都心に行けず……その前に少し予習を、と昭和初期の松竹少女歌劇の様子をアップしてみます。 「レヴューガール軍国的訓練」という…

東條英機ポスター

以前、ネットで見つけた東條英機&ヒトラー&ムッソリーニのポスター「Enemy ears are listening.」ですが、 ↓↓本当に貼られていたんだなあ。左奥のガラス窓に注目。(拡大画像)

米軍と鳥居

2.3年ちまちまとネットサーフィンしている間に見つけた鳥居っぽい標識などをまとめてみました。 羽田空港1955年 かつての羽田空港はこんな感じ 福岡・板付基地 神奈川県厚木 日本じゃないけど、台北1967 沖縄の飲食店にあるAサイン 立川エアベース(関連話題…

登戸研究所

陸軍科学研究所に関連する施設が明治大学生田キャンパスの構内にあるということで行ってみました。 研究されていたのは、風船爆弾、生物化学兵器、スパイ用品、偽札など。 *1 *2 登戸研究所の研究内容やそこで開発された兵器・資材などは、時には人道上あるい…

海外芸者&海外神社

日本統治時代の海外神社の写真を見ると、シーンと静まりかえっていて、やけに真面目そうに見えます。 しかし実際のところ、その周辺部には東京の縁日に負けないほどのナマナマしいエネルギーがうずまいていたこともあったようです。 昭和3年の「日本巡り」と…