佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

戦争の周辺

阪本牙城の“わしづかみ力”と「満洲」

“わしづかみ力”がすごい阪本牙城の漫画 阪本牙城といえば「タンクタンクロー」。近眼の私の目にもグイグイ飛び込んでくるこのタッチ! ちなみに、創刊時のanan等をてがけたデザイナー堀内誠一(昭和7生)は、幼い頃から雑誌ごっこに励んでいて、阪本牙城や新…

基地と音楽と「鹿」

“米軍基地が洋楽の発信源”だった、みたいな話ってありますよね。私は音楽に詳しくないのでその辺はチンプンカンプン。しかし地元・立川(←「シン・ゴジラ」で災害対策本部ができていた場所)について調べていると、ときどき音楽関係の画像を見かけるので、今…

B29とコーヒーと恋愛【獅子文六『コーヒーと恋愛』連載開始60周年】

敗戦から『コーヒーと恋愛』までは、17年 仲間由紀恵の「トリック」(第1作は2000年)も、クドカンの「木更津キャッツアイ」(2002年)も、20年前のドラマだってご存じでした?いやあ、月日のたつのは早いものです。 獅子文六『コーヒーと恋愛』(可否道)に…

「大陸」を描いた漫画

「スピってる?」祖父の遺品から見つけた漫画 先日、祖父の遺品箱から、古い漫画の原稿を発見しました。はじめにおことわりしておくと、祖父は漫画家ではありません。医者でしたが、本人が超病弱・貧乏だったんです。なので、この漫画は祖父が集めたものでは…

原宿にあった「海軍館」と、『なんとなくクリスタル』

海軍思想を広める施設「海軍館」 かつて原宿に「海軍館」という施設があったのご存知でしょうか?場所は東郷神社の脇で、ビームス原宿の向かいあたり。 堀内誠一の自伝『父の時代 私の時代』に、海軍館の描写があったので引用してみますね。ジオラマや食事な…

和平運動秘話『揚子江は今も流れている』

「頭のいい連中や、落ちついた連中」の日中和平運動秘話 youtu.be 私が「TENET(テネット)」を見たときの感想は、「戦争を阻止しようとする青年たち。よくわからないけど、すごく大変そう」という、ぼんやりしたものでした。 今回ご紹介する『揚子江は今も…

漫画に描かれた「欧州大戦」のニュース

2022年2月末、世界は大変ことになってきました…。今日は、1939年(昭和14)秋の「欧州大戦勃発」をテーマにした漫画をご紹介します。描かれているものをすべて鵜呑みにするわけにはいきませんが、何かしら今と共通する点が見つかるかもしれません。以下の画…

今使っているアイコンの話・満州のお宅訪問記事など

私は2年くらい前からTwitterやInstagramのアイコンにこの絵を使っています。原田治みたいな太い線で見やすいし、何より可愛い。でも、この絵っていつの時代に描かれたのか、わかりにくくないですか?今日はこのアイコンについてお話しします。 ▽ためしにCanv…

輪タク・人力車の時代

敗戦から数年頃のカラー写真を見ていると、人力の乗り物=輪タク・人力車がけっこう目につきます。今日はそんな輪タクや人力車の写真をご紹介しましょう。 泣きながら「輪タク」に乗った桑沢洋子 笹本恒子写真集『昭和・あの時・あの人』より「桑沢洋子(服…

獅子文六『おばあさん』と現実のギャップ

「伝統的家族観」という言葉が、SNSで話題になっていましたね。昭和の人気作家・獅子文六『おばあさん』も、どちらかというと“伝統的家族”にカウントされてしまいそうな小説です。チャーミングなおばあさんを中心に、3世代がわちゃわちゃしているのですから……

獅子文六『やっさもっさ』の時代

獅子文六の『やっさもっさ』(1952)は、朝鮮戦争(1950-1953)の時期に新聞連載されました。 舞台は横浜。「国は破れ、山河とパンパンだけが残った」横浜で、混血児の孤児院を中心にストーリーが展開していきます。先日、その孤児院をイメージさせるカラー…

獅子文六と戦争をテーマにしたジンを販売中です

戦争に突入する時代をテーマにしたジン『認識不足時代 ご時勢の急変と獅子文六』を作りました。BOOTHで販売中です。「あんしんBOOTH パック」(ポストに投函・匿名配送)でお送りします。 ninshikibusoku.booth.pm ビリケン商会(青山)・オヨヨ書林新竪町店…

獅子文六『胡椒息子』の時代

『胡椒息子』の連載と、時代の急変 私は、昨年(2020)『ご時勢の急変と、獅子文六』という冊子を作りました。その中で、“時代の潮目がグッと変わった頃”の作品として紹介しているのが『胡椒息子』です。『胡椒息子』は、雑誌に1年間連載しているうちに世の…

「夜の街」と、わかりやすい地図

オシャレでわかりにくい地図に困ったことはありませんか?結局、グーグルマップで調べ直すから手間がかかるんですよね。 今日は、香港のわかりやすい地図をご紹介しましょう。顧客が乗っている「船」からのルートがハッキリ描いてあるのです。 船からの道順が…

獅子文六『断髪女中』と軍需景気

獅子文六の短編『断髪女中』(昭和13)は、日中戦争がはじまった時期の女中不足がテーマ。「 今度の事変が始まって、直接間接の軍需景気が、一度にドッと女中適齢期の女子を工場に吸引」したから、さあ大変、女中さんを見つけられなくなってしまったのです。…

原節子のベルリン通信【日独合作映画『新しき土』】

昭和12年、原節子はベルリンで映画『新しき土』の舞台挨拶をしていました 昭和12年の初夏(1937)、「原節子・ベルリン写真通信」が「主婦之友」に連載されました。なぜ彼女がベルリンに行ったかというと、日独合作映画『新しき土』(『Die Tochter des Samu…

コロナ禍の5万RTツイートと、獅子文六『おばあさん』

コロナ禍のツイートと、「古き良き時代」のマジック 2021年9月6日時点で、約5万RT・11万いいねがついているツイートです。私はこれを読んで獅子文六の戦時中の小説『おばあさん』を連想しました。深刻な状況は後世に伝わりにくいという意味で…。今日はその話…

堀内誠一と伊勢丹【14歳で伊勢丹の「装飾係」に】

敗戦間もない頃の伊勢丹で働いていた堀内誠一 もう10年くらい前の話になりますが、堀内誠一の展示「旅と絵本とデザインと」を世田谷美術館で見たことがありまして、その時の印象は「炸裂しているなあ!」でした。堀内誠一が手がけた『anan』や『平凡パンチ』…

「銃後のハナ子さん」その2  産めよ殖えよ

先日、戦中の漫画『銃後のハナ子さん』の誕生エピソードについて書きました。本日はその続き、『銃後のハナ子さん』の時代背景です。 narasige.hatenablog.com 「日本一の子を作れ」特集と、『銃後のハナ子さん』 『銃後のハナ子さん』は戦時中、「主婦之友…

「銃後のハナ子さん」その1 轟夕起子とハナ子さん

轟夕起子をモデルにした漫画「銃後のハナ子さん」 引用元:日活サイト 市川崑監督の『青春怪談』(昭和30)で、丸々としたお母さん役だった轟夕起子。垂れ目で天真爛漫で、本当に可愛かった。 しかしその十数年前、彼女はとっても細かったのです。戦前〜戦中…

シティポップと焼け野原(その2)【1985年の日本】

1985年を軸にして考えてみる 先日、「シティポップの生まれた時代は、意外と焼け野原に近い」と書きましたが、今日はその続き。敗戦から40年目の1985年を軸にして考えてみたいと思います。 「1985年8月15日」発売のムック シティポップを聴くかぎり、1980年…

野戦病院・『M*A*S*H 』・獅子文六『やっさもっさ』

野戦病院と『マッシュ』 2021年8月。新型コロナの感染者が急増し、SNSでは「野戦病院」という言葉をたびたび見かけるようになりました。あぁぁぁ。 そして「野戦病院」を描いた映画といえば『マッシュ』(1970)です!『マッシュ』は、「Mobile Army Surgica…

「大家さん」と伊勢丹(漫画『大家さんと僕』を読んで・その2)

漫画『大家さんと僕』(矢部太郎)を愛読しています。『大家さんと僕』で重要な位置を占めているのが新宿伊勢丹。読むたびに“「大家さんと伊勢丹は、ともに戦前〜戦後をかけぬけてきたのだなあ”と思うのです。 とくに印象的なのは“伊勢丹の3階から上はアメリ…

バナーと戦争

みなさん、「バナー」というと何を思い浮かべますか?私は、オンラインショップの“小さい長方形”を連想します。あと、オリンピックの旗も「バナー」として売られていますね(笑) ※画像は2021.10.13時点。tokyo2020shop.jp 「祝出征」のノボリはバナー? 先…

宝塚と風船爆弾

宝塚劇場の“向かい”が気になる 日比谷のMUJIカフェ(追記:2021年10月閉店)が好きです。向かいに宝塚劇場が見えるから…。私は宝塚にほとんど縁がないけれど、漫画『ZUCCA×ZUCA』を読んでファンの熱量をうらやましく思っておりました。 さて、宝塚劇場は進駐…

「愛国行進曲」を合唱するおばあさん達(『大家さんと僕』を読んで)

同世代だから唄える「愛国行進曲」(『大家さんと僕』) 出典:『大家さんと僕』矢部太郎(新潮社) 漫画『大家さんと僕』(矢部太郎)を愛読しています。中でも印象に残ったのが、“入院している大家さんのお見舞いに行ったら、同室のおばあさん達と「愛国行…

暗号とグラウンド

高級住宅街と「イミテーションゲーム」 井の頭線・浜田山にある高級住宅街に行ってきました。ウソかと疑うレベルで綺麗なところです。 なぜ行ったかというと、立川市が出しているお年寄りの聞き書き集に、“戦争末期、浜田山駅の近くにあった三井のグラウンド…

流行語の「認識不足」と獅子文六

「あらまあ認識不足よ(リットン程ではないけれど)」という曲がきっかけで、獅子文六のジンを作りました 獅子文六といえば『コーヒーと恋愛』(昭和37)。テレビの女優が主人公なので、“獅子文六は戦後の流行作家かな?”と思われるかもしれません。しかし『…

飲み会を夢見る時代 (『男の友情』獅子文六)

新型コロナによる自粛期間中、「オレの考える最強の飲み会」をツイートする人が増えました。夜遅くまで騒いで、大通りで酔いをさまして、さらに公園でおしゃべりを続けて…みたいな。ことに表現のプロがツイートする“最強の飲み会”は、映画館なみの臨場感。読…

獅子文六『悦ちゃん』から生まれた少女スターと、戦争

「東京五輪は、どうなるの?どうなっちゃうの?」みんながヤキモキしている2021年5月。 ご存知の方も多いと思いますが、かつて日本はオリンピックと万博を急停止したことがありました。今日は、そんな時代に活躍した少女スターをご紹介します。彼女は、獅子…

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