獅子文六

関東大震災前の地図で、タイムトラベル

これは、大正7年(1918)の観光地図だそうです。 flickrより はじめ見たとき「ああ、これ、敗戦後に作られた進駐軍用のマップね」と思いました。しかし拡大してよく見ると「あれ、晴海がない!ん…?築地市場もない!勝どき橋もない…。?待って!これ関東大震…

お金持ちと、多摩川

私は学生時代の数年間、稲田堤〜登戸エリアの駅を利用していました。しかしどの駅も完全に通過地点。10代の女子の夢を何ひとつ満たしてくれない場所だったのです。 しかし、獅子文六の小説を読んでいたら稲田堤・稲田登戸エリアが"金持ちの別荘地から見える…

東京行進曲・モスコー行進曲

獅子文六の「浮世酒場」(昭和10年「新青年」連載)には、シベリア帰りの男が酒場で、クレムリンやモスコーでの経験を虚実とりまぜて話すシーンがあります。以下引用。 「非常時どころか、ジャズで踊って、ウオッカで更けて、明けりゃ闘士の涙雨という、モス…

道しるべとしての富士山

maraudersREVsmall pixel | mike skidmore | Flickr 獅子文六が、敗戦後、読売新聞の誘いで「平和号」という飛行機に乗った時のエッセイに、"道しるべ"としての富士山が出てきました。 じきに駿河湾。バカにならぬ景観である。富士山はどうしても、日本本土…

羽田空港と、角砂糖のような建物

獅子文六の「胡椒息子」(昭和12年8月〜13年9月「主婦の友」連載)に、富豪の家庭の少年少女が羽田空港に遊びに行くシーンがあります。羽田空港で「エア・タクシー」に乗り、「東京の空の散歩」をするつもりなのです。(話の展開上、「エア・タクシー」には…

ヒリヒリする「ユーモア小説」

久しぶりに、獅子文六の「南の風」を読み返しました。 南の風 (朝日文庫) 作者:獅子文六 発売日: 2018/06/07 メディア: 文庫 「南の風」の裏表紙に「幻のユーモア小説」とありますが、これ、新型コロナの時代に読みかえすと、けっこうキツいです。以前は、フ…

「ピーターラビット」 と、時局成金

映画の「ピーターラビット」 のことを食わずぎらいしていました。どうせ、可愛いウサギと、こぎれいな白人の映画だろと思っていたのです。見てみたら、こぎれいな白人の恋愛が、けっこうメタな感じで笑えた。「はははは、つかまえてごらんなさい」みたいな高…

舞鶴とスクラム

自由学校 (ちくま文庫) 作者:文六, 獅子 発売日: 2016/06/08 メディア: 文庫 獅子文六の小説「自由学校」に「舞鶴でスクラムを組む」という文章が出てきま す。以下、引用。 とにかく、これで、一安心… シベリアで抑留されたわが子が、舞鶴でスクラムを組ん…

秘密じゃないんだ

神奈川近代文学館で行われている没後50年獅子文六展に行ってきました。読書家でない私が全集を持っているのは獅子文六だけなのです。 展示で最初に思ったのは、 〝横浜は、進駐軍で潤っていたことが秘密じゃないんだ?〟ということです。 私の近所の街は米…

お墓と、獅子文六「青春怪談」

獅子文六の「 青春怪談」がちくま文庫から復刊されました。山崎まどかさんの熱い解説が「ちくまweb」で読めます。この解説を読めば、青春怪談を買いたくなること間違いなし! 山崎まどかさんは「 青春怪談」の胸がキュンとなるロケーションとして、向島百花…

観劇にうっとり

私は「観劇で陶酔する」ことに憧れている。 いままでそういう経験が全くないからである。 獅子文六の「写真」(獅子文六全集第11巻)という短編に70歳近くなって観劇の喜びを発見する女教員の話があって、それがとてもイイ。 独身で通した女教員は、明治…

慰問あれこれ

Christina Aguilera - Candyman (Edit) 日本の場合、戦地に慰問というと内海桂子師匠が満州に巡業☆的なイメージですが、アメリカは派手そうですね。 クリスティーナ・アギレラ「キャンディマン」は第2次大戦中の設定。メイクが戦時中の看護婦さん募集ポスタ…

海沿いの歓楽街

先日、江東区の中川船番所資料館に行きました。そこには江東区の面積がめまぐるしく増加する様子が展示されていました。内陸の市町村では見られない現象です。 江東区って江戸時代から埋め立てが続いているから、どんどん土地が増えていくんですよね。もとも…

船で千葉の海水浴場へ

これは昭和初期の千葉県の北條を描いた漫画(昭和3年・現代漫画大観「日本巡り」より)絵の解説によると、千葉県の北條には「一高(現在の東京大学教養学部)、高等師範、その他多数の学校の水泳合宿所が軒を並べて」おり、「霊岸島から船がつくと」先に合…

外皮を剥き捨てて、果物を味わう方法

獅子文六の「丸の内芝居見物」*1に、敗戦から数年たった頃の都心の劇場の様子が描かれていたので、ちょっと引用します。 (帝劇で文楽の人形浄瑠璃、日劇でエノケン一座、日劇小劇場では裸レビューを見物) エノケンと文楽は、「外皮を剥いて食うべき果物」…

得意なことを活かす

*1 ■かつて、「職域奉公」という言葉があったそうです。魚屋は魚屋で、役者は役者で、それぞれ、オクニのために職業に精を出す、みたいな意味らしい。 ■獅子文六の戦時中の小説に、職域奉公をテーマにした「売家」*2という作品があります。 主人公のお駒は、…

青春怪談

Romantic au go! go!さんのつぶやきで知った「青春怪談」(獅子文六 1955)を、観に行きました! 敗戦から9年目に新聞に連載され、翌年、映画化された作品です。 そんな時期にピカピカの電化製品が溢れかえっている宇津井健のお家(大きな病院の息子)は、当…

軍需産業とオミズ産業の持ちつ持たれつ

■立川のラブホテル街に、ほっこりしたお店が何軒かオープンしています。これは、また.......思いきった環境でのスタートです。 そのラブホテル街の付近は、かつて遊郭でした。それも意外と歴史の浅い遊郭です。 なんで歴史が浅いかというと、そのあたりは大…

美人薄命と、洋装

「但馬太郎治伝 (講談社文芸文庫)」 戦前のパリで、東洋の貴公子(堂々とした美男でプレイボーイ)が、想像を絶するゼイタクをする話です。モデルは薩摩治郎八。 私が気になったのは、そんな東洋の貴公子の妻=マダム但馬の一生でした。 モッサリした華族の令…

 電気毛布で鼻血

闘士型、肥満型の昭和のオジサンの中いも、足が冷えて困るタイプの人がいるのをご存知ですか? その足の冷たいオジサンとは、巨万の富を築いた相場師、佐藤和三郎。 獅子文六の小説『大番』のギューちゃんのモデルになった人物です。 (映画ではギューちゃん…

カフェ

都心で適当に入ってしまったカフェがちょっと怖かった 夜の業種…が片手間にやっているのでしょうか…ほっこりしたカフェごはん ・・・を、Vシネ風の兄さん達がお給仕(指先をビシっと揃え、口角を無理に上げ)してくれるのです。 キラキラしたトイレの脇には…

四谷のドンボスコ、夏の応接室

■四谷のドンボスコ(メダイユやピンバッチ等をギッシリ売っているお店)に行ってみたら、お店の中を涼しい風が吹き抜けていました。見れば表のドアと裏のドアが開け放されていて、通路状のお店に、ググーンと空気の通り道が出来ている。 21世紀、たいして暑…

 伊勢丹の、超特濃シチュウ

これは焼け野原の新宿。左が三越で、右が伊勢丹なんですって!ひー。絶版らしきこの本asin:4163382305からスキャンしました。 (こちらのサイトに非常に詳しい解説があります。) ところで。敗戦直後、伊勢丹が関わっているような、関わっていないような、も…

軍需工場熟練工のリッチな花見

*花見への交通手段は、電車なんか使わない!8家族が貸し切りバスで移動。*花見に参加する子供達はおろし立てのセーラー服に金ボタン。母親達は、錦紗やジョーゼット。*花見のBGMは、ポータブルプレイヤーにレコードをかけて。*お花見の弁当の中身は、サ…

 とんでもハップン

■画像は、昭和25年の朝日に掲載された4コマ。今どきの軽薄な若者(やたらにカタカナを羅列)とは会話が成立しないので、“サ○エ、ひとつ通訳を頼むよ”というわけ。 同じ昭和25年、朝日新聞に連載された「自由学校」にも、「とんでもハップン!」「チャージさ…

 東海汽船と林芙美子

■「東京湾納涼船」の、東海汽船創業は明治22年、はじめは「東京湾汽船」という名称で、現在の東京都中央区新川(霊岸島)の会社だったそうです。行き先は、三崎、木更津、千葉、館山、伊豆など。以下、ちょっとレトロなネタを見つけたので、メモします♪■獅子…

 資生堂から海老フライが消えた日

ダンナに解雇されたお妾さんが久しぶりに銀座に出て、資生堂の海老フライをヤケ食いしようとしたら、もはや“ご時勢”のために食べられなかったという話「売家」。(獅子文六全集11巻)実は、このお妾さんが解雇されたのもダンナが浮気したからではなく、「ご…

 健やかな花魁

「おいらん女中」(獅子文六・昭和33年)は、明治時代の吉原の花魁が、真面目な女中へみごと転職した小説。ネットリした情念とは無関係の、ほのぼのストーリーでした。しかも、1年間びっしり「粘膜と粘膜の接触」をしてきたお客さん(エリート帝大生)の新婚…

 流行の力

外国映画で戦中・戦後を描いたモノを見ると、日本のと何か、違う…。戦時下の恋愛を描いていても、平時と同じくらい華があるような気がします。その原因の1つとして、日本みたいに国民服やモンペが登場してないというのもあるのでは?ほら、国民服が出てくる…

資生堂チェインストアが…

昭和16年 「資生堂チェインストア」を「資生堂チェイン」に変更 「資生堂チェイン」を「配給と経営」に変更 (資生堂年表より)「配給と経営」って、資生堂とイメージが全然別モノなんですけど!!!まるで「アニー・ホール」の中に出てくる映画「悲しみと哀…