小林聡美さんの『神はサイコロを振らない』第2回を見ました。1996年、消息をたった402便の乗客が突然10年後の2006年に放り出され、「今、肩パッド流行ってませんから」とか言われていた。
■この事件が物事が急展開する昭和初期に起こったら、たいへんですよ!たとえば画像は昭和10年の雑誌からですけど“パラソルは柄の素材にこだわりたい。セルロイドに自然の木、蛇やトカゲの皮のもありますよ”みたいな超贅沢な記事でして。もし昭和10年の裕福なお洒落さんが「今年の夏はセルロイドの柄のパラソルを買うわよー」というウキウキした気分のまま消息をたって、いきなり昭和20年の焼け野原に放り出された日にゃ…!!!
■しかし、戦時中は女子の年齢問題が吹き飛ぶこともあったようです。戦争中は生き残るので精一杯。衣食足りてアンチエイジング。
以下、獅子文六の愉快な小説「青春怪談」より
………疎開した時は、まだ30代だったのよ。
女が、30代から40代へ移る瞬間は、大事件である。女の四季は、日本の気候のように、推移がハッキリしている。夏は夏。秋は秋。
そして40の声をきけば女の秋である。その重大な瞬間を、鵠沼で迎えたのだが、いいあんばいに、戦争最中で、買い出しだの、防空豪だのという騒ぎに、知らずに関所を越してしまったようなものだった。周囲の人も彼女が40になろうが80になろうが気にかける者もなかった。ところが今度はそうはいかない。
………あたしは、来年50になるのよ。
小林聡美さんが10年の時をへだてて出現した恋人に「あたしのこと88才だと思ってみればいいんじゃない?」的なことを言っていましたが、ほんとうに「40になろうが80になろうが」気にならない時代っていうのも、困りますな。