77歳の女性(バーの主人)から聞きました
私の育ったところは新潟県の海沿いでした。砂だらけのところで、お墓も砂で作りました。お盆の頃に毎年作り替えるのです。
子どもの頃は土葬だったので、石でお墓をつくると、何年かしたら石が斜めに倒れてしまうのです。棺がくさった時、地面がぼこっと凹むので。
砂のお墓なら、地面が凹んでも、作りかえることができます。お墓はお椀・ドーム型で、スコップで丸く形を作っていたと思います。大きさはそこのイス(バーのスツール)よりは少し大きかった。
1つの「ひつぎ」につき、1つのドームを作りました。ひつぎは縦型で、胎児のようなかっこうで入れました。埋める時も「縦に」埋めました。
砂のドームの前には、お供えもの台を砂で作りました。お盆になると、蓮の葉の上に、はまなすの赤い実と、甘いお団子、キュウリとナスの刻んだものを載せたものをそなえたのです。
子どもたちは、あちこちの家のお団子を味見しました。
■はまなすの赤い実は、仏壇にも細い棒を渡して、沢山吊しました。はまなすが砂浜に沢山生えているのです。はまなすの見た目は薔薇の花と同じですごく綺麗だったけれど、びっしりトゲが生えていました。仏壇に吊したハマナスは、藁の船(納豆の藁みたいな形)に乗せて、海に流しました。
お墓に供える花は、蓮の花で、砂のドームの脇に刺しました。花も砂に直接刺すからとくに花瓶はいりません。家はレンコンを育てていたので、蓮の花も葉も家にありました。
■新しく埋めた人がいると、前の人の何かが混ざった土が掘り返されて地面に出てくるらしく、燐が青く燃えて、すごく怖かったです。雨上がりの夕暮れが特に燃えていたように思います。