「ワルシャワ貧乏物語」、いい本でした。
重そうな題名だけど、「続 足長おじさん」のサリー・マクブライド的な行動力で、物資の乏しい社会をグイグイとつきすすんでいく様子が痛快です。
1967〜1975年。消費物資の氾濫する日本から、日本語講師の夫の赴任によってワルシャワへ移り住んだ作者。ワルシャワでは、高度経済成長以降の日本人が忘れていた、つつましい暮しが残っているのに驚いています。
果物の保存食、麻、ハーブ、薬草、家庭農園、おばさんが個人経営するヒミツ食堂、修繕屋さん達‥‥クーネルな単語が、並びに並びんでいます。
作者は下町の商家の出身。大正末か昭和初期の生まれで、日本女子大付属高校卒。私たちから見ればその世代の人は何でも一通り作れそうですが、都会育ちの彼女の場合はそうでもなかったらしく、ワルシャワという環境に置かれて、はじめて保存食作りの才能が炸裂したようです。お嬢育ちのサリー・マクブライドが、孤児院をまかされて色々と開花したように。
「消費物資の氾濫する日本」「消費物資の氾濫する日本」という言葉が何回も文中に出てきますが、作者は敗戦の頃、20歳くらい。日本が焼け野原のどん底から急成長するところを体感してる世代なわけで、今の私たち(ダイソーとイオンモールに囲まれている)とは、また感覚が違うことを脳内でちまちま修正しつつ読んでみました。
当時のワルシャワの若者が、高価な上に保温力のない化繊のファッションに憧れている様子も興味深い!!