「あにいもうと(昭和28・1953)」を見ました。
見る前は、「きっと浅草とか下町の狭〜い家で、京マチ子が家族関係に悩む話なんだろうな」と思っていました。
見てみると舞台は全然浅草ではなく、なんと、多摩川の河川敷なのです。
多摩川の神奈川サイドは超・超・超・田舎という前提でストーリーはすすむのでした。それは今流行っている漂白された和テイストではありません。とにかく、田舎!多摩川さえ渡ればすぐ東京なのに、東京駅も銀座も見たことない古い考えの人々が暮らすエリアとして描かれています。そして多摩川を越えて東京へ働きに出た京マチ子は不良娘になって帰省し、周囲から白い目で見られるのです。
(私は中学高校と毎日、多摩川を越えて通学していたけれど、かつて多摩川が心理的ハードルを上げてる川だったとは知りませんでした。それに川を越える前の東京サイドもかなりのどかな光景でした。一面の梨畑だし、乗客はヤンキーと競馬のおじさんで、いわゆる東京のイメージとはほど遠かった!)
この映画の見所は多摩川の河原から色々な形状の線路が延びまくっているところ。石や砂利を運ぶ産業がすごかったことを思わせます。あの辺を走る電車の多くは、もともと砂利鉄道だったとは聞いていましたが、それが実感できる映像です。
そのあと、同じく多摩川映画である(?)シンゴジラを見返しました。ゴジラに多摩川を越えさせてはならない!(イコール東京に上陸させてはならない)と皆さん頑張っています。しかしゴジラは多摩川に何の思い入れもないので、あっさり都心へ侵入。その際、空から見た多摩川は、西(神奈川)と東(東京)の両方とも建物がびっしりでそれほど差がないように見えました。武蔵小杉の高層建築が建つ前なら、そうもいかないでしょうけど。
「あにいもうと(1953)」と「シン・ゴジラ(2016)」の間の60年で、色々なことがずいぶん変わった のでしょうね。