道路にいる「家畜」が、ヘッドライドを浴びる?!
来年は、丑年。かつての日本は、「街の中」に牛や馬がいました。にわかには信じられないかもしれませんが、本当なんです。その様子がわかる文章を『竹頭帖』(宮田重雄/文藝春秋新社 1959)より紹介します*1。
向こうからの車も、こっちの車も、強烈な前照灯(※ヘッドライトのこと)の光を、カチ合わせて、その間に入った人間や家畜などは、一瞬まるで見えなくなってしまうという経験を、誰でも持っているであろう。あれは危険極まりない。
「人間や家畜」とサラッと書いてますが、ヘッドライトが「カチ合わせ」る交通量の場所に、家畜がいたのですね。びっくり。
街の中の牛
以下、1950年前後の「街の中の牛」写真をネットで集めたのでご覧ください。(※すべてもとからカラー写真です)。
▽アメリカ人が撮影した写真には、「肥桶」を運ぶ牛が「Honey Wagon」として頻繁に登場します。
▽けっこうな交通量のエリアに、肥桶を運ぶ牛が!
https://www.flickr.com/photos/58451159@N00/18792714956
仙台 https://www.flickr.com/photos/norb_faye_lang/3863004441
東京
仙台(背景の建物に「仙台支店」の文字) 」
https://www.flickr.com/photos/norb_faye_lang/3863002909
場所不明。ワラジのようなものを履いています。
https://www.flickr.com/photos/32973040@N03/3165926101 これは肥桶ではありませんが、靖国神社の祭りの牛です。神保町のすずらん通りでしょうか。
▽肥桶の匂いで気絶している進駐軍の図。美しい桜を眺めていると、Honey Wagon・Honey bucketがやってきて…(笑)https://archive.org/details/tokyo-joe/page/n33/mode/1up?view=theater
韓国でも、牛
朝鮮戦争の時期は、韓国の牛(とHoney Wagons)も沢山うつっています。
▽Honey Wagons
▽ソウル “Honey Wagon, Seoul”
▽ソウルです。これは肥桶じゃないけれど荷車がズラリ!
オマケ:「荷車・馬車通行止」通行止めの標識
「荷車・馬車通行止」の表示。こんなに混雑した商店街に「荷車」が来たら大変ですよね。jkling0-R1-E016 | Post War Tokyo. Photo is of John | SEXYBOYFRIEND | Flickr
拡大画像
以上、街の中で大活躍する牛でした。
写真が撮影されたのは1950年前後。街の中で牛を見て育った少年少女は、20年後には、アラサー、アラフォー。大阪万博(EXPO'70)にたずさわったり、ananなどに代表される攻めたファッションを生み出したりした世代です。彼らのつくる世界に、「牛」が登場する余地はなさそう。ことに肥桶を運ぶ「Honey Wagon・Honey bucket」の出番はないでしょう!
▽なぜ、この時代のカラー写真が残っているのかは、こちらをご覧ください。