アサヒカメラ 昭和10年5月号。「アマチュアに捧げる5月の写真撮影上達の秘訣」という記事です。すごく可愛いくて軽やかなイラスト!獅子文六シリーズ(ちくま文庫)の表紙になりそう。イラストの作者は、平井房人。彼はのちに「家庭報国思ひつき夫人」を描く方なんですね。
◎これは、車窓からの撮影方法。手書きタイトルがウキウキした気分を盛り上げています。アマチュアが撮った写真に、プロが"こうしたらどうですか"とアドバイスをつけている。
◎伊豆の川奈ゴルフ場にて撮影する方法。ホテルの支配人から「ここは、準要塞地帯なので、海の方にレンズを向けるな」とか言われています。でも、翌日は晴天に恵まれ、海を撮るために「元気百倍」で海岸へ飛び出した、とも。だ、大丈夫なの…?
(ちなみに、金色青春譜 ――獅子文六初期小説集 (ちくま文庫)に収録されている「楽天公子」(昭和11)には、「極東のコート・ダジュール」として川奈のゴルフ場が登場します。「東京ではルンペンが凍死したそうだが、川奈の太陽は名物の少女キャディーに汗を掻かせている」という皮肉つきで…)
◎他のページには、街頭スナップ写真術も。銀座を異国のイケてる街並みのように撮影する術ですね。生活感ゼロ。
◎屋外での人物撮影法。子供の服や靴がかっこいい。
◎以上、アサヒカメラの紹介でした。昭和10年のアサヒカメラには、たのしい雰囲気が満ちています。しかし、みなさまご存知の通り、たった10年後の昭和20年は焼け野原なわけでして。被写体となった人々もどうなったことやら。まことに、あっけないです😭😭
Greater Tokyo, Sept. 1945, looking up main street, Ginza | Flickr
◎1935-1950年の時代の急変を冊子にまとめました。