宮尾しげをが描いた日常の着物
先日ご紹介した前川千帆と同じく、漫画家の宮尾しげをも、日常のほほえましい瞬間を切りとってくれました。デジタルネイティブという言葉がありますが、いわば着物ネイティブたちの姿がここに。
右下の「ベッタラをぶら下げて夜道を歩くおじさん」なんて、写真にも映画にもまず残らない姿です。
帯の絵が気持ちいい
私は、宮尾しげをが描く「帯」が大好きです。お太鼓がふっくら・キュッ!
お茶を出しても お寺さんは 拝むなり
きゅうり柄の着物に、カッパの帯…。尻子玉を抜かれないコーディネート?
降参をして いるように シャツを脱ぎ
着物と動作
現代は「お着物を着たからには、すきのない身のこなしでなくては…」みたいな空気がありますが、昔はそうもいっていられない。ドロッドロの道で、アクロバティックな動作を強いられることも。
悪い道 手が板塀を 歩くなり
換気が完全な居酒屋
今は、着物が非日常となったので「凛々しいサムライのように着たい」「遊び慣れた若旦那のように着たい」とイメージが膨らませることができます。でも実際のところ、大半のご先祖様はこういうスタイルだったのかもしれません。
居酒屋の 鍋は何やら 貝が煮え
『川柳漫画全集 第11巻 浮世行進曲』昭和5年
△「こんなの、江戸時代のイナカの光景でしょ?」と思うかもしれませんが、 戦後しばらくは、都会の道路にも馬や牛がいました。証拠写真の数々は、こちら(笑)
華やかな舞台
宮尾しげをはモダン都市の華やぎも描いてくれました。なかほどの着物の女性2人連れに注目してください。半襟の厚みや、衣紋の抜き方など、彼女たちの体温まで伝わってくるようです。(あと、メニューに見入ってるオジサンの皮脂も、すごく感じる…)
食堂を 出れば 舞台はもう暗い
こちらは、「宝塚少女歌劇」と「松竹レヴュウ」がバチバチ。
以上、宮尾しげをの漫画でした。いかがだったでしょうか。描かれている対象は古いけれど、最近の雑誌に混じっていても不思議に馴染みそうですよね?
以前、レジ袋が廃止された時、「昔の買い物スタイル」を 宮尾しげをの漫画に探したことがありました。ぜひこちらの投稿もご覧ください!