佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

宮尾しげをと、日常の着物

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宮尾しげをが描いた日常の着物

先日ご紹介した前川千帆と同じく、漫画家の宮尾しげをも、日常のほほえましい瞬間を切りとってくれました。デジタルネイティブという言葉がありますが、いわば着物ネイティブたちの姿がここに。

右下の「ベッタラをぶら下げて夜道を歩くおじさん」なんて、写真にも映画にもまず残らない姿です。

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『現代漫画大観 第5編』昭和3年 

帯の絵が気持ちいい

私は、宮尾しげをが描く「帯」が大好きです。お太鼓がふっくら・キュッ!

お茶を出しても お寺さんは 拝むなり

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『現代漫画大観 第5編』昭和3年 

きゅうり柄の着物に、カッパの帯…。尻子玉を抜かれないコーディネート?

降参をして いるように シャツを脱ぎ

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『現代漫画大観 第5編』昭和3年 

着物と動作

現代は「お着物を着たからには、すきのない身のこなしでなくては…」みたいな空気がありますが、昔はそうもいっていられない。ドロッドロの道で、アクロバティックな動作を強いられることも。

悪い道 手が板塀を 歩くなり

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『現代漫画大観 第5編』昭和3年 

 換気が完全な居酒屋

今は、着物が非日常となったので「凛々しいサムライのように着たい」「遊び慣れた若旦那のように着たい」とイメージが膨らませることができます。でも実際のところ、大半のご先祖様はこういうスタイルだったのかもしれません。

居酒屋の 鍋は何やら 貝が煮え

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『川柳漫画全集 第11巻 浮世行進曲』昭和5年

△「こんなの、江戸時代のイナカの光景でしょ?」と思うかもしれませんが、 戦後しばらくは、都会の道路にも馬や牛がいました。証拠写真の数々は、こちら(笑)

narasige.hatenablog.com

 華やかな舞台

宮尾しげをはモダン都市の華やぎも描いてくれました。なかほどの着物の女性2人連れに注目してください。半襟の厚みや、衣紋の抜き方など、彼女たちの体温まで伝わってくるようです。(あと、メニューに見入ってるオジサンの皮脂も、すごく感じる…)

食堂を 出れば 舞台はもう暗い

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『川柳漫画全集 第11巻 浮世行進曲』昭和5年

こちらは、「宝塚少女歌劇」と「松竹レヴュウ」がバチバチ

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昭和8年「笑ひの日本」(新潮社『日の出』付録)

 


以上、宮尾しげをの漫画でした。いかがだったでしょうか。描かれている対象は古いけれど、最近の雑誌に混じっていても不思議に馴染みそうですよね?

以前、レジ袋が廃止された時、「昔の買い物スタイル」を 宮尾しげをの漫画に探したことがありました。ぜひこちらの投稿もご覧ください!

narasige.hatenablog.com

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