佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

 高層タワーと、長谷川時雨と、浜離宮

(現時点で)東京一の高層マンション・58階建、CFはリチャードギア…

このマンションがいきなり建っているところは、かつて月島3号地とよばれ、東京市の水道管置き場でした。埋め立ては大正2年に完成。(ちなみに、もんじゃで有名なのは月島1号地で、幻の万博予定地は4号地)

3号地は埋め立てられてからずうっと、特にコレといった名物のない場所でしたが、*1
長谷川時雨サンの「東京開港」(昭和16年)には、主人公の風子が、出来て間もない三号地を歩くシーンがあります。

「風子は、なんだか頭が重いので、月島の三号地のさきへ行って、御浜御殿の翠色を眺めて来ようと出てみた」

御浜御殿というのは「浜離宮」のことです。三号地自体は何もないけど、対岸には浜離宮の翠を眺めることができるのでした。

「三号地自体には何もないが、対岸の浜離宮を眺めることができますよ!!」というのは、このリチャードギアなマンションでもウリになっていて、ちょっと可笑しい。
時雨サンによると、当時の3号地は「北海道に似ている」「原っぱいっぱいに東京市の水道鉄管の太いのがごろごろ転がしてある」「茫漠とした、新しい建設をまつ寂寥さがある」そうで…いくら浜離宮が見えるとはいえ、女性の一人歩きにはかなり怖そうじゃないですか?

■逆に、浜離宮から4号地(おそらく3号地も)を眺めたシーンが獅子文六の「自由学校」に出てきます。主人公は、埋め立て地が邪魔して水平線が見えない、と怒っているけど。

*1:しいていうと、水産研究所があった。半魚人が出てきそうな建物でした。こちらのブログに詳しい写真が。→→http://blog.goo.ne.jp/ryuw-1/c/317c56430ccaa1a054ab69f2a2e112d0/1

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