佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

装いのお手本はナチスの「流行局」【戦時中の婦人雑誌から】

戦時中の『婦人画報』を読んでいると、ナチスやヒットラーが肯定的に扱われていてビックリすることがあります。 ▽例えば、記事のタイトルがズバリ「わたしたちのヒットラー」だったり。 narasige.hatenablog.com ナチスの流行局 で、今日ご紹介するのは「ナ…

勝者目線の地図(1945年「LIFE」の広告から)

勝者から見た太平洋の地図 終戦直後のアメリカの雑誌を見ていたら、すごく勝者目線の広告がありました。 「どうです、戦時中の我が社の活躍ぶりは?」といわんばかりの広告なんですよ(LIFE 1945年8月27日号)。ウェスタン・エレクトリック社という電気機器…

【戦時ラブコメ@蒲田】獅子文六『虹の工場』

戦時ラブコメは、設定がむずかしい 昭和の人気作家・獅子文六の『虹の工場』(昭和15)は、いわば戦時ラブコメです。 “巨大軍需工場のお坊ちゃん”と、“町工場の職工”が、ひょんなことから同じ女の子(キャフェの女給)を好きになってしまうお話で、舞台は蒲…

パステルカラーと、敵対心の醸成【戦時中の婦人雑誌から】

私は、映画『ミッドサマー』見た時、あまりの恐ろしさに胃が固まってしまいました。映画が胃に“きた”のは、はじめての体験です(笑) さて、戦時中の「婦人画報」を見ていると、ときどき『ミッドサマー』を感じることがあります。明るい色彩の奥底に、ナゾの…

【大政翼賛会の花森安治】『戦争と宣伝技術者』『戦争と宣伝技術者』

『戦争と宣伝技術者 報道技術研究会の記録』大政翼賛会時代の花森安治 「暮しの手帖」の花森安治。 「資生堂」の山名文夫。 この2人がコラボしたら、ものすごく魅力的な“何か”が誕生するはずですよね、ふつうは。(現在、ふろしきが商品化されています→□) …

「わたしたちのヒットラー 総統と少女」【昭和17年の女性誌より】

「わたしたちのヒットラー 総統と少女」 「わたしたちのヒットラー」……びっくりするようなタイトルですが、今日は戦時中の『婦人画報』(昭和17年5月号)を紹介しましょう。 ▽「ヒットラー総統の誕生日に花束を捧げるために、ひしめき合っている少女たち」。…

めでたさとキナ臭さと【昭和11年のお正月漫画から】

あけましておめでとうごさいます。タモリの発言「新しい戦前」がTwitterで話題ですね。2023年はいったいどんな年になるのでしょうか。 ちょうど手もとに昭和11年(1936)の雑誌があります。大日本雄弁会講談社「富士」新年号の豪華附録『トテモ愉快な絵読本…

物騒な銀座と、オシャレな広告塔

オシャレな広告塔は、いつからあった? ここ十数年ほど、私の趣味は敗戦直後のカラー写真を見ることです。(進駐軍の子孫が、“ダッドやグランパが撮影した写真”としてネットにあげている。しかし、進駐軍が撮影する場所は限られているから、ガチな暗部はうつ…

【チャラ男はインフルエンサー】獅子文六『売屋』

最近、お笑いトリオ「ぱーてぃーちゃん」を知りました。チャラ男1人にギャル2人という設定(?)のグループです。 私はお笑いをよく知らないけれども、けっこう動画をみてしまった…。特に「チャラ男」役の人には、博多大吉先生的な何かを感じました。 獅子文…

進駐軍のジープは風のように走る【昭和21年の絵本から】

ジープのおもちゃと、ワカメちゃん 敗戦まもない頃のサザエさんには、“ほっこり”じゃないネタ(住む家のない親子、引揚げの苦労など)も 目白押しです。 中でも印象的だったのがこのコマ…。四角い包みを見たワカメちゃんが、唐突に「ジープだね」と喜んでい…

「ビートDEトーヒ」/逃避したくなる時代と、獅子文六

獅子文六と【戦争→敗戦→どん底からの復興】 かまいたち濱家が歌っている「ビートDEトーヒ」。ダンスは可愛いけど、歌詞はけっこう暗いんですね。“ポップなビートで、トーヒ(逃避)したい。つらい現実から目をそらしたい”みたいな内容で。 #ビートDEトーヒ踊…

コバウおじさん(고바우영감 )

『マンガ韓国現代史―コバウおじさんの50年 (角川ソフィア文庫)』。韓国の4コマ漫画です。表紙は、2001年に発行された「ゴバウおじさん50周年記念の切手」だとか。 おじさんの服が1950年→2000年と、どんどん変化していますよね。最初の頃の装い(1950年前後)…

ツルツルしたデパートの戦中戦後

銀座のApple Storeは、とてもツルツルしていますよね*1。Apple Storeの向かいにあるデパートが松屋銀座。Apple Storeに負けないほどツルツルで、みつ豆の寒天を思わせます。(上の写真は、2022/10/19撮影)。 しかし、そんな松屋にも「ツルツルしていない時…

オシャレな椅子に“横向き”で座る人たち(『デスノート』・獅子文六『胡椒息子』)

今になって『デスノート(テレビ版)』を見ています。(脇役で、ひいきの俳優が出ていると聞いたもんですから)。「L」は、ソファに“横向き”で座る人なんですね。だるそうなのに、ツルン!と上手に座るからつい感心してしまう。 スポニチアネックス 2015年7…

50年前(1972〜3年)の若者たち

今日は1972-3年(昭和47-8)の若者を紹介しましょう。ちょうど50年前なので、彼らは今、70歳代でしょうか。 その頃の若者ってセピア色じゃなくて、むしろ派手!(人や地域によるだろうけれど)。撮影はアメリカ人Nick DeWolf→☆氏です。 ▽顔をカールでふちど…

縮んだお菓子と、体操の写真

「子供の頃好きだったお菓子が、すごく小さくなっている」という嘆きをSNSで見かけます。なにごとも、小さくなるのは悲しいですよね。 今日は、戦時中にグラフ誌の写真が、小さく(安く)なった例を紹介しましょう。画像は、すべてお金持ち向け雑誌『ホーム…

生き延びるための灸

お灸でメンテナンス(ほっこり編) 私がセルフ灸をするときは、関節に油をさすつもりでやっています。ブリキのロボットが自分自身を整備している感じです。 「人生50年」の時代ならともかく、関節の耐用年数を過ぎても生きていくからには、メンテしておいて…

日比谷公園で国葬をしていた時代

日比谷公園の国葬風景(東郷平八郎)【昭和9年6月】 いきなり国葬が決まって、モヤモヤしています。 先日、日比谷公園の国葬(東郷平八郎)記事を読めるサイトを見つけたので、参考までにご紹介しますね。日比谷公園といえば、野音やオクトーバーフェスト、…

「勝った勝った」の提灯行列と、大企業

勝った勝った、で提灯行列 映画「アネット」のエンディングは、カラフルな提灯行列が印象的でしたけど、日本も盛んに提灯行列をしていた時期がありました。たとえばこれは、日中戦争がはじまった昭和12年の提灯行列。 『銀座と戦争』(平和博物館を創る会・…

獅子文六『海軍』と、出刃包丁

青春感MAX(?)の物語、獅子文六『海軍』 2022年7月、こんなドラマがはじまるそうです。公式ツイッターの謳い文句には 「青春感MAX 」とありました… さて「青春感MAX」といえば、ユーモア小説家の獅子文六が、本名の岩田豊雄で書いた『海軍』は、ある意味「…

1938年のベルリンで、宝塚少女歌劇団の歓迎会がありました【山口青邨『滞独随筆』】

ベルリン子の熱狂と、山口青邨『滞独随筆』 話題の書店、神保町のPASSAGE by ALL REVIEWSで*1、山口青邨の『滞独随筆』(昭和15年・三省堂)を見つけました。山口青邨は、“俳人で鉱山学者”。ギョッとする表紙ですが、今日はこの本をご紹介しましょう。 『滞…

阪本牙城の“わしづかみ力”と、戦時下

“わしづかみ力”がすごい阪本牙城の漫画 阪本牙城といえば「タンクタンクロー」。近眼の私の目にもグイグイ飛び込んでくるこのタッチ! ちなみに、創刊時のanan等をてがけたデザイナー堀内誠一(昭和7生)は、幼い頃から雑誌ごっこに励んでいて、阪本牙城や新…

基地と音楽と「鹿」

“米軍基地が洋楽の発信源”だった、みたいな話ってありますよね。私は音楽に詳しくないのでその辺はチンプンカンプン。しかし地元・立川(←「シン・ゴジラ」で災害対策本部ができていた場所)について調べていると、ときどき音楽関係の画像を見かけるので、今…

B29とコーヒーと恋愛【獅子文六『コーヒーと恋愛』連載開始60周年】

敗戦から『コーヒーと恋愛』までは、17年 仲間由紀恵の「トリック」(第1作は2000年)も、クドカンの「木更津キャッツアイ」(2002年)も、20年前のドラマだってご存じでした?いやあ、月日のたつのは早いものです。 獅子文六『コーヒーと恋愛』(可否道)に…

「大陸」を描いた漫画

「スピってる?」祖父の遺品から見つけた漫画 先日、祖父の遺品箱から、古い漫画の原稿を発見しました。はじめにおことわりしておくと、祖父は漫画家ではありません。医者でしたが、本人が超病弱・貧乏だったんです。なので、この漫画は祖父が集めたものでは…

原宿にあった「海軍館」と、『なんとなくクリスタル』

海軍思想を広める施設「海軍館」 かつて原宿に「海軍館」という施設があったのご存知でしょうか?場所は東郷神社の脇で、ビームス原宿の向かいあたり。 堀内誠一の自伝『父の時代 私の時代』に、海軍館の描写があったので引用してみますね。ジオラマや食事な…

和平運動秘話「揚子江は今も流れている」

「頭のいい連中や、落ちついた連中」の日中和平運動秘話 youtu.be 私が「TENET(テネット)」を見たときの感想は、「戦争を阻止しようとする青年たち。よくわからないけど、とっても大変そう」という、きわめてボンヤリしたものでした。 今回ご紹介する『揚…

漫画に描かれた「欧州大戦」のニュース

2022年2月末、世界は大変ことになってきました…。今日は、1939年(昭和14)秋の「欧州大戦勃発」をテーマにした漫画をご紹介します。描かれているものをすべて鵜呑みにするわけにはいきませんが、何かしら今と共通する点が見つかるかもしれません。以下の画…

今使っているアイコンの話・満州のお宅訪問記事など

私は2年くらい前からTwitterやInstagramのアイコンにこの絵を使っています。原田治みたいな太い線で見やすいし、何より可愛い。でも、この絵っていつの時代に描かれたのか、わかりにくくないですか?今日はこのアイコンについてお話しします。 ▽ためしにCanv…

輪タク・人力車の時代

敗戦から数年頃のカラー写真を見ていると、人力の乗り物=輪タク・人力車がけっこう目につきます。今日はそんな輪タクや人力車の写真をご紹介しましょう。 泣きながら「輪タク」に乗った桑沢洋子 笹本恒子写真集『昭和・あの時・あの人』より「桑沢洋子(服…

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