なかなかツラい本を入手しました。少年兵募集に重点を置いた雑誌『海軍』の創刊号です。(昭和19年5月/大日本雄弁会講談社)。表紙には「戦場は君たちを待つ」の文字が……
目次を見ると、もはや雑誌というより[海軍省の募集パンフレット]に、小説や漫画がのっているイメージです。「海軍省人事局」「大本営海軍情報部」をはじめとして、海軍関係者がずらり。
とあります。戦局の悪化でいろいろな雑誌が休刊しまくっている状況で、新たに創刊された雑誌は軍のリクルート系…というわけです。
▽たとえば『海軍』の中身はこんな感じ。海軍省人事局指導のページ「海軍志願兵になるには」。早わかり!
▽巻頭には「想像絵 ワシントン大爆撃」。日本の最新鋭爆撃隊がアメリカを攻撃するイメージ画像です。説明文のすべてにフリガナがついている。小さい人むけ。
▽漫画の魅力もすごい。「2023年のイラストですよ」と言われたら信じてしまいそう。
▽かっこいいアニキ像。
僕たちもいくぞ。いのち捧げる時はきた。あとに続かん皇国の少年兵たち
▽玉砕を美化
天皇陛下の御ために、御国のために身をを捧げる時はいまだ。
▽執筆陣には、人気作家・岩田豊雄(獅子文六の本名)も。脚本家・笠原和夫の言葉を借りるなら、当時の獅子文六は「筆力をもって若者達を海軍に志向させ」*1る作家だったのです。
▽ この広告、大人向けの雑誌でもよく見かけるけれど、少年向けの雑誌に出ていると余計にえぐい。
以上、雑誌『海軍』の紹介でした。この雑誌は子供たちをその気にさせるために、一番効き目のある人たちをチョイスしているように見えます。ぬるい小説や、下手なマンガじゃ“効き目”が薄いですものね。
「新しい戦前」とされる昨今、誰が選ばれるのでしょう。やはり人気YouTuberですか?気になるところです。