昔のまんが

めでたさとキナ臭さと【昭和11年のお正月漫画から】

あけましておめでとうごさいます。タモリの発言「新しい戦前」がTwitterで話題ですね。2023年はいったいどんな年になるのでしょうか。 ちょうど手もとに昭和11年(1936)の冊子があります。大日本雄弁会講談社「富士」新年号の豪華附録『トテモ愉快な絵読本…

阪本牙城の“わしづかみ力”と「満洲」

“わしづかみ力”がすごい阪本牙城の漫画 阪本牙城といえば「タンクタンクロー」。近眼の私の目にもグイグイ飛び込んでくるこのタッチ! ちなみに、創刊時のanan等をてがけたデザイナー堀内誠一(昭和7生)は、幼い頃から雑誌ごっこに励んでいて、阪本牙城や新…

「大陸」を描いた漫画

祖父の遺品から見つけた漫画 先日、祖父の遺品箱から、戦時中の漫画と思われる原稿を発見しました。 はじめにおことわりしておくと、祖父は漫画家ではありません。医者でしたが、本人が超病弱・貧乏だったのです。なので、この漫画は祖父が集めたものではな…

「銃後のハナ子さん」その2  産めよ殖えよ

先日、戦中の漫画『銃後のハナ子さん』の誕生エピソードについて書きました。本日はその続き、『銃後のハナ子さん』の時代背景です。 narasige.hatenablog.com 「日本一の子を作れ」特集と、『銃後のハナ子さん』 『銃後のハナ子さん』は戦時中、「主婦之友…

「銃後のハナ子さん」その1 轟夕起子とハナ子さん

轟夕起子をモデルにした漫画「銃後のハナ子さん」 引用元:日活サイト 市川崑監督の『青春怪談』(昭和30)で、丸々としたお母さん役だった轟夕起子。垂れ目で天真爛漫で、本当に可愛かった。 しかしその十数年前、彼女はとっても細かったのです。戦前〜戦中…

半裸の昭和

昭和の半裸画像 暑い、暑すぎる!……ということで、今日は昭和の半裸画像(主に男性)を集めてみました。※カラー写真はすべてもとからカラーです。 裸で晩ごはん ▽「貧乏の あからさまなる 夏の宵」という川柳についていた漫画です。実はこういう家がすごく多…

バナーと戦争

みなさん、「バナー」というと何を思い浮かべますか?私は、オンラインショップの“小さい長方形”を連想します。あと、オリンピックの旗も「バナー」として売られていますね(笑) ※画像は2021.10.13時点。tokyo2020shop.jp 「祝出征」のノボリはバナー? 先…

「愛国行進曲」を合唱するおばあさん達(『大家さんと僕』を読んで)

同世代だから唄える「愛国行進曲」(『大家さんと僕』) 出典:『大家さんと僕』矢部太郎(新潮社) 漫画『大家さんと僕』(矢部太郎)を愛読しています。中でも印象に残ったのが、“入院している大家さんのお見舞いに行ったら、同室のおばあさん達と「愛国行…

飲み会を夢見る時代 (『男の友情』獅子文六)

新型コロナによる自粛期間中、「オレの考える最強の飲み会」をツイートする人が増えました。夜遅くまで騒いで、大通りで酔いをさまして、さらに公園でおしゃべりを続けて…みたいな。ことに表現のプロがツイートする“最強の飲み会”は、映画館なみの臨場感。読…

宮尾しげをと、日常の着物

宮尾しげをが描いた日常の着物 先日ご紹介した前川千帆と同じく、漫画家の宮尾しげをも、日常のほほえましい瞬間を切りとってくれました。デジタルネイティブという言葉がありますが、いわば着物ネイティブたちの姿がここに。 右下の「ベッタラをぶら下げて…

前川千帆と、日常の着物

私は、着物と人間が「一体化」している姿が好きです。たとえば猫は、「猫」と「毛皮」が、(当たりまえだけど)一体化している。伸び縮み自由自在!あんな感じが理想なんです。 しかし日常の自然な着物姿って、なかなか写真に残りにくい。そこで、漫画の出番…

非常時と、獅子文六『金色青春譜』

獅子文六『金色青春譜』は、贅沢と非常時のミルフィーユ 昭和の人気作家・獅子文六のデビュー作「金色青春譜 (昭和9年/ちくま文庫) 」は、大金持ちの未亡人と、ケチな美男のラブコメです。 カタカナの贅沢品がどっさり出てきて楽しい!たとえば2ダースのシ…

新興国 満洲へ

失恋したら満洲へ みんな大好き獅子文六「悦ちゃん」(昭11)から、悦ちゃんのパパ「碌さん」が失恋した時のシーンです。満洲行きは、当時の失恋あるあるだったのでしょうか。 実際、碌さんは、病人のようになった。(略)女に嫌われて、そんな反応を起こす…

昭和10年のワクワク写真撮影術

アサヒカメラ 昭和10年5月号。「アマチュアに捧げる5月の写真撮影上達の秘訣」という記事です。すごく可愛いくて軽やかなイラスト!獅子文六シリーズ(ちくま文庫)の表紙になりそう。イラストの作者は、平井房人。彼はのちに「家庭報国思ひつき夫人」を描く…

フラフラと大島へ(獅子文六「浮世酒場」を読んで)

昭和10年の時事ネタトーク 獅子文六の小説「浮世酒場」(昭和10)が、金色青春譜 ――獅子文六初期小説集 (ちくま文庫)に入るそうです!嬉しい!「浮世酒場」は酔った客が東京ポッド許可局のようにしゃべりまくるスタイルの作品です。すごく時事ネタが多いので…

レジ袋がなかった時代

レジ袋がなかった時代の買い物スタイル かつて、レジ袋も、折り畳みエコバッグも存在しませんでした。どうやって買い物をしていたのでしょう?昔の買い物姿をご紹介します。 袋に入れず「しばる」 「この辺に 居るのか巡査 葱をさげ」。レジ袋からネギがはみ…

長谷川町子さん、翼賛一家

長谷川町子さんの「翼賛一家 大和さん」。たまたま、最終回がのっているアサヒグラフを持っていたので、のせておきます。(昭和16年5月14日号。) この時、町子さん21歳。長谷川町子美術館に、詳しい年表があります。 対談やエッセイをまとめた長谷川町子思…

駅弁売りが隠れる時代(宮脇俊三『時刻表昭和史』より)

戦時中の駅弁売り 「浮かれているように、駅売駆け歩き」(宮尾しげを「現代漫画大観・川柳漫画」昭和3年より) 昭和3年の駅弁は、浮かれているような動作で売られていたのですね。 しかし戦争が激しくなってくると、駅弁売りは柱の陰に隠れていたそうです。…

お金持ちと、多摩川

私は学生時代の数年間、稲田堤〜登戸エリアの駅を利用していました。しかしどの駅も完全に通過地点。10代の女子の夢を何ひとつ満たしてくれない場所だったのです。 しかし、獅子文六の小説を読んでいたら稲田堤・稲田登戸エリアが"金持ちの別荘地から見える…

東京行進曲・モスコー行進曲

獅子文六の「浮世酒場」(昭和10年「新青年」連載)には、シベリア帰りの男が酒場で、クレムリンやモスコーでの経験を虚実とりまぜて話すシーンがあります。以下引用。 「非常時どころか、ジャズで踊って、ウオッカで更けて、明けりゃ闘士の涙雨という、モス…

古関裕而と、国境の地名

古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家 (文春新書) 作者:真佐憲, 辻田 発売日: 2020/03/19 メディア: 新書 古関裕而 の本を読んでいます。軍歌のヒットを飛ばした小関が、1939(昭和14)満洲を視察する様子に興味津々。中でも、小関が自伝の中で"朝鮮の地名…

前川千帆が描く未来人

約90年前に描かれた未来 新型コロナ対策でステイホームしなくてはならない2020年。ツライですね。しかし昔の人にとっては、家に「居ながらにして色々できる」生活が、憧れだったようです。 今日は、版画家・漫画家の前川千帆(1988-1960)が予想した未来のラ…

国境の観光、鴨緑江節

▼これは昭和3年の「現代漫画大観・日本巡り」に出てくる朝鮮「新義州」のページ。昭和3年の本なので「日本巡り」に朝鮮・台湾・樺太などが出てくるのです。日本の名所として鶴ヶ岡八幡宮(鎌倉)と、ピョンヤン(朝鮮)が同じ本に紹介されている本‥。 解説の…

畳と宇宙人(「宇宙人 東京に現る」感想その1 )

昭和の特撮好きの人に強くすすめられて、渋々みた「宇宙人 東京に現る」(昭和31 年・1956)。 カラー映像が美しいし、見て本当によかった。 まず、日本的な風景の中からいきなり宇宙人が出てくるのが良い!小津映画などで、お嬢様が畳の部屋でソックスはい…

アンモニアと、藤田嗣治?(と、コクトー)

「首出せば 朝の秋風 アムモニア」 *1 肥料をまいている畑。それを眺める藤田嗣治的な風貌のおヒト。 (関連話題 「honey bucket」の時代 id:NARASIGE:20060423) 昭和10年ホームライフより、コクトーがはじめての日本訪問をした時の写真。 右から玉錦関、堀…

はじめての宝塚/『あんみつ姫』と浅草の国際劇場

先日、宝塚をはじめて見ました。1人で突然行ったのですが、劇場で知り合いの2人にバッタリ。そのうちのお1人は漫画「ZUCCA×ZUCA」のモデル(ネタ元?)になったとか!舞台がはじまる前に、瞳きらきらの2人から鑑賞のイロハを教えていただきました。ありがた…

おQ

2011年の土用の丑の日は、今日。 毎年、土用の丑の日には各地のお寺で「ほうろく灸」という暑気払いの行事が行われています。 ■自分でする人は火の取り扱いに注意(昭和6年 川柳漫画全集 細木原青起) ■おQの方が、有名になってしまった例(昭和3年 現代漫画…

手をたたく

「笑ふとき 雛妓(おしゃく)は無駄な手を叩き」*1 手をたたくリアクションの元祖? *1:昭和5年 ウルトラじんた

日比谷公園

先日、日比谷公園のオクトーバーフェストにはじめて行ってみました。薔薇も咲いているし、ほとんど天国。自分は今日、この日のために生まれてきたのかも、と思うほどの…。 ■そんなオクトーバーフェストの会場に行くまでに、ツルの噴水がちょっと目に入りまし…

洗濯ラッシュ

*1「にわか照り 尻で押し合う 井戸の端」 梅雨の晴れ間に大あわてで洗濯する人たち。ものすごーく薄着です。写真にも絵画にも残りにくいタイプの、日常すぎる光景。これは漫画だから茶化して描いてありますが、実際はゴーギャンの絵みたいだったかもしれませ…

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