終戦から10年

昭和遺産を愛でる時に

このところ「昭和」が、観光資源になっていますよね。現代にはない夢やエネルギーを感じる人が多いのかもしれません。 【例】熱海の「ホテルニューアカオ」 熱海【ホテルニューアカオ】の滞在が、控えめに申し上げて天国だった件 #SmallGoodThingshttps://t.…

息子はどこ?|小津安二郎『彼岸花』

※サムネイル画像は「学徒出陣」鈴木満(昭和18)*1 「いい感じ」に仕上がっている小津映画 以前、映画ライターのてらさわホーク氏がYouTubeで〈小津安二郎は、ちょっとあぶないと思ってるんですよ〉と語っていたのが印象的でした。 ぼく小津安二郎って、けっ…

飢えとミスド

敗戦と「ミスド」グッズのイラストレーター 先日、SNSで1980年代のミスドグッズが話題になっていました。「オサムグッズ」で知られる原田治や、ペーター佐藤らが手がけたミスドのグッズは、とても明るくて可愛らしい。 www.misterdonut.jp そして今回、ふと…

1950年代の沖縄(カラー写真)

琉球米軍司令部=ライカム 東京の立川は「IKEA」や「ららぽーと」がある大きめの街ですが、かつては米軍基地がありました。そこはフィンカム基地と呼ばれ、立川の商店街も「フィンカム前商店会」だったのです。 ▽昔の立川。「お買い物はフィンカム前商店会へ…

小音楽堂は見た【日比谷公園】海軍葬から「パパと呼ばないで」まで

日比谷公園の「小音楽堂」を定点観測 昭和のテレビドラマを配信で見ていると、今は存在しない建物が当たりまえのようにうつっていて、びっくりすることがありませんか? 最近、私が気になっているのは日比谷公園の「小音楽堂」*1。昭和3年に建てられた、真っ…

「関心領域」みたいな色の写真(日本・1950年)

映画「関心領域」は、褪色したような明るい色彩(と叫び声)が印象的でしたね。 実は「関心領域」に似た明るい色彩が、 戦後間もない日本にもありました。駐留軍の家庭に…。 今回紹介するのは1950年前後の仙台とその周辺を撮影した、ある一家です。(※すべて…

デザイナーの戦中・戦後

マガジンハウスは、アンアンやブルータスでお馴染みの出版社ですが、創業時どんな感じだったかご存知でしょうか。 なんと敗戦の年末には、もう「平凡」の創刊号を出しているのです。紙も何もかも不足している時代に、すばやい動きですね。 ▽右上の白っぽい表…

銀座のスーベニアショップ(1950年代)

銀座とは思えないスーベニアショップ「銀座館マート」 3月8日は「みやげの日」。ということで、flickrに上がっていた某スーベニアショップを紹介しましょう。それは「Ginzakan Mart」=銀座館マート。キャプションに1953年とあるので、ちょうど朝鮮戦争の頃…

朝鮮戦争と少年たち

最近、SNSで「ジャニー喜多川・朝鮮戦争・少年」というキーワードが流れてきますね。 ▽(例)4年前(2019)の美談記事についてのツイート 4年前の記事。ジャニー喜多川氏は朝鮮戦争に派遣されていたが、その地でこんな仕事をしていたとなると……「52年に朝鮮…

1950年代の成増・朝霞

グラントハイツ(現・都立光が丘公園)の光景 湿気を感じさせない広い空! 実はこの風景、アメリカじゃなくて、日本なんです。しかも時期は1955〜1957年(昭和30~32年)。つまり、昭和33年を舞台にした映画『ALWAYS 三丁目の夕日』よりも前。 1955〜1957年…

【KOREA】子供が子供をおんぶする1950年代

子供が子供をおんぶする時代(韓国の場合) 1950年代前半、主にアメリカ人によって撮影された日本には「子供が子供をおんぶする姿」がたびたび登場します。そしてこの時期、日本よりもたくさん撮影されているのは韓国なんです。前に日本の子供の「おんぶ写真…

進駐軍のジープは風のように走る【昭和21年の絵本「ハシレヨ ヂープ」から】

ジープのおもちゃと、ワカメちゃん 私の愛読書は、敗戦まもない頃のサザエさんです。 なかでも印象的だったのがこのコマ。四角い包みを見たワカメちゃんが、唐突に「ジープだね」と喜んでいる。いくら進駐軍に“ギブミーチョコレート”する時代だとしても、「…

ツルツルしたデパートの戦中戦後【松屋銀座】

銀座のApple Storeは、とてもツルツルしていますよね。Apple Store*1の向かいにあるデパートが松屋銀座。Apple Storeに負けないほどツルツルで、まるでみつ豆の寒天のよう。(※サムネイル画像は2022/10/19撮影) しかし、そんな松屋にも《ツルツルしていない…

出刃包丁と、獅子文六『海軍』

青春感MAXの獅子文六『海軍』 2022年7月、こんなドラマがはじまるそうです。公式ツイッターの謳い文句には 「青春感MAX 」とありました。 さて「青春感MAX」といえば、昭和の人気作家・獅子文六が、本名の岩田豊雄で書いた『海軍』は、ある意味「青春感MAX」…

立川基地と音楽と「鹿」

“米軍基地が洋楽の発信源”だった、みたいな話ってありますよね。私は音楽に詳しくないのでその辺はチンプンカンプン。しかし地元・立川(←「シン・ゴジラ」で災害対策本部ができていた場所)について調べていると、ときどき音楽関係の画像を見かけるので、今…

B29とコーヒーと恋愛【獅子文六『コーヒーと恋愛』連載開始60周年】

敗戦から『コーヒーと恋愛』までは、17年 仲間由紀恵の「トリック」(第1作は2000年)も、クドカンの「木更津キャッツアイ」(2002年)も、20年前のドラマだってご存じでした?いやあ、月日のたつのは早いものです。 獅子文六『コーヒーと恋愛』(可否道)に…

人力車・輪タクの時代

ネットで敗戦間もない時期の写真を見ていると、けっこう【人力の乗り物】がうつっています。今日はそんな時代の「人力車」や「輪タク」を紹介しましょう。 ▽[Japan, 1956]鎌倉 ▽鮮明なカラー写真が多数存在する理由はこちらをごらんください。 narasige.ha…

「街の女」と学園都市

1950年代の立川基地にタイムスリップした場合 地元・立川で『ラストナイト・イン・ソーホー』をみました。1960年代の文化を愛する少女が当時にタイムスリップし、憧れていた時代の「暗部」に気づくお話です。 観た後、「もし『ラストナイト・イン・ソーホー…

華のない銀座を見おろす

高速道路以前の光景 前に、“生まれも育ちも中央区”のお年寄りに、以下の写真を見せて「ここはどこですか?」と聞いたことがあります。彼女曰く 川は、高速道路と西銀座デパートになった。道路は、外堀通り。左の円形の建物は現在の有楽町マリオンの一角(映…

獅子文六『やっさもっさ』の時代

昭和のユーモア作家・獅子文六の『やっさもっさ』(昭和27/1952『毎日新聞』連載)は、「国は敗れ、山河とパンパンだけ残った」頃の横浜を描いた小説です。舞台は、〈混血児の孤児院〉。先日、その孤児院をイメージさせるカラー写真を見つけたので、紹介さ…

「夜の街」と、わかりやすい地図

オシャレでわかりにくい地図に困ったことはありませんか?結局、グーグルマップで調べ直すから手間がかかるんですよね。 今日は、香港のわかりやすい地図をご紹介しましょう。顧客が乗っている「船」からのルートがハッキリ描いてあるのです。 船からの道順が…

コロナ禍の5万RTツイートと、獅子文六『おばあさん』

コロナ禍のツイートと、「古き良き時代」のマジック 2021年9月6日時点で、約5万RT・11万いいねがついているツイートです。私はこれを読んで獅子文六の戦時中の小説『おばあさん』を連想しました。深刻な状況は後世に伝わりにくいという意味で…。今日はその話…

堀内誠一と伊勢丹【14歳で伊勢丹の「装飾係」に】

敗戦間もない頃の伊勢丹で働いていた堀内誠一 もう10年くらい前の話になりますが、堀内誠一の展示「旅と絵本とデザインと」を世田谷美術館で見たことがありまして、その時の印象は「炸裂しているなあ!」でした。堀内誠一が手がけた『anan』や『平凡パンチ』…

シティポップと焼け野原(その2)【1985年の日本】

1985年を軸にして考える 先日、「シティポップの生まれた時代は、意外と焼け野原に近い」と書きましたが、今日はその続き。敗戦から40年目の1985年を軸にして考えてみたいと思います。 「1985年8月15日」発売のムック シティポップを聴くかぎり、1980年代の…

野戦病院・『M*A*S*H 』・獅子文六『やっさもっさ』

野戦病院と『マッシュ』 2021年8月。新型コロナの感染者が急増し、SNSでは「野戦病院」という比喩をたびたび見かけるようになりました。 そして「野戦病院」を描いた映画といえば『マッシュ』(1970)です。『マッシュ』は、「Mobile Army Surgical Hospital…

半裸の昭和

昭和の半裸画像 暑い、暑すぎる!……ということで、今日は昭和の半裸画像(主に男性)を集めてみました。※カラー写真はすべてもとからカラーです。 裸で晩ごはん ▽「貧乏の あからさまなる 夏の宵」という川柳についていた漫画です。実はこういう家がすごく多…

1950年代のスーベニアショップ

スーベニアショップいろいろ 2021年7月末の日本は、酷暑と感染拡大で「おもてなし」どころじゃないけれど、70年ほど前の日本は、ある種の“おもてなし”モードにありました。したがってスーベニアショップも多かった。今日はそれをざっと紹介しましょう。※すべ…

1950年代の浴衣

1950年代の浴衣 ネットには、戦後間もない日本を撮影したカラー写真があがっています。当然、着物姿の女性も写っているけれど、これが意外とお手本にならない!長いこと戦争に耐えてきたせいかオシャレが迷走しがちだから。 narasige.hatenablog.com その点…

シティポップと焼け野原(その1)

「ものすごく強い西洋への憧れ 」とシティポップ kompass.cinra.net 「シティポップ」が海外で注目される現象について、マトを得ていると評判の記事を読みました。私は音楽に詳しくないけれど、とても腑に落ちた部分があったので引用します。 松永:あの当時…

「大家さん」と伊勢丹(漫画『大家さんと僕』を読んで・その2)

漫画『大家さんと僕』(矢部太郎)を愛読しています。『大家さんと僕』で重要な位置を占めているのが新宿伊勢丹。読むたびに“「大家さんと伊勢丹は、ともに戦前〜戦後をかけぬけてきたのだなあ”と思うのです。 とくに印象的なのは“伊勢丹の3階から上はアメリ…

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