1950年代の浴衣
ネットには、戦後間もない日本を撮影したカラー写真があがっています。当然、着物姿の女性も写っているけれど、これが意外とお手本にならない!長いこと戦争に耐えてきたせいかオシャレが迷走しがちだから。
その点、浴衣は紺白でスッキリ!参考になりそうなのでご紹介しますね。(※すべて元からカラー写真。暗い写真は明るさを調整しています)
▽1951-53(昭和26-28)頃。多分、母と娘。若い娘の華やぎが漂ってきます。お母さんの雰囲気も素敵。https://www.flickr.com/photos/58451159@N00/23635057973
上の写真を引いたところ。 よく見ると、各世代の女性が1枚の写真に収まっています。手前の年配女性は、浴衣と体が一体化している。
▽1953-55頃(昭和28-30)。屋形船で花火待ちの人々。密です!https://www.flickr.com/photos/58451159@N00/31255954433/
1950年代前半ならではの写真
▽ 1953-1954(昭和28-29)頃。やんちゃな雰囲気の女性。華奢な金色の腕時計をしています。
上の彼女が洋服を着たところ。当時の日本では珍しい、凝った作りのドレスです。
▽凝ったドレスの理由はこの人。戸の模様から、上の彼女と同じくらいの背丈だとわかります。
▽1953-1954頃(昭和28-29)。小柄ゆえ浴衣がツンツルテンにならない。これも1950年代の浴衣姿の一例。
▽1950年代の時代背景はこちらを。当サイトで最もアクセス数が多かった記事です。
接客業の浴衣
外国人が撮影しやすいのは、やはり接客業の女性です。こちらは1955年(昭和30)、敗戦から10年たった頃の大阪。背景に仲居さん募集の貼り紙が。(もしかするとこの外国の女性は、日本の夏にあわせて紺白ワンピースを着ているのかもしれません。他の写真は原色なので。)
▽1955年(昭和30)、大阪のバー。上の写真と同じ外国の女性中心に。左端の人も浴衣か。https://www.flickr.com/photos/herb450/4139091376/
▽ 1959年(昭和34)の涼しげな仲居さん。1950年代前半はキツいパーマの女性が被写体になりがちでした。しかし、こういう落ち着いた写真を見ると「ああ!もうすぐ1960年代に入るんだ…敗戦から15年経過したんだなあ」と、しみじみします。https://www.flickr.com/photos/herb450/4613691578
▽参考:浴衣じゃないけど、ヘアメイクがきつい例(1950-55頃)
オマケ。猛暑とマスオさん
1953年(昭和28)頃。21世紀はもっと暑くなるよ、マスオさん。
以上、1950年代の浴衣姿でした。前に大正生まれの女性から
戦後しばらくの間、浴衣は、もう色が落ちて、色が落ちて、白い帯が出来なかった。帯が青く染まってしまうから。
と聞いたことがあります。
また、1950年4月(昭和25)の『装苑』でも、座談会の話題が「純綿を探すのがたいへん」「質のよい木綿があれば、毎日ブラウスを洗濯できるのに。洗濯するとダメになってしまう」みたいな調子でした。(デザイン以前にそこですか、『装苑』なのに!)
現在「木綿の浴衣」は、気軽なオシャレといったイメージだけど、それすら難しい時代があったことを頭のスミに置いておきたいですね…
▽1945年の日本。背景の樹木が、マッドマックス怒りのデス・ロード。