終戦から10年

「大家さん」と伊勢丹(漫画『大家さんと僕』を読んで・その2)

漫画『大家さんと僕』(矢部太郎)を愛読しています。『大家さんと僕』で重要な位置を占めているのが新宿伊勢丹。読むたびに“「大家さんと伊勢丹は、ともに戦前〜戦後をかけぬけてきたのだなあ”と思うのです。 とくに印象的なのは“伊勢丹の3階から上はアメリ…

宝塚と風船爆弾

宝塚劇場の“向かい”が気になる 日比谷のMUJIカフェ(追記:2021年10月閉店)が好きです。向かいに宝塚劇場が見えるから…。私は宝塚にほとんど縁がないけれど、漫画『ZUCCA×ZUCA』を読んでファンの熱量をうらやましく思っておりました。 さて、宝塚劇場は進駐…

おすすめの過去記事

1950年代のカラー写真を集めた投稿です。どっさり集めているので、お好きなカテゴリーからご覧ください! はじめに。70年前のカラー写真が存在する理由 narasige.hatenablog.com narasige.hatenablog.com 服装・髪型など narasige.hatenablog.com narasige.h…

歌舞伎座が焼けていた時代

歌舞伎座が焼ける→日本橋三越で歌舞伎 日本橋のお年寄りの対談集にこんな証言がありました。 「歌舞伎も、それから演舞場も、明治座もみんな焼けちゃったので、唯一残っているというんで三越が歌舞伎をやって、 当時白木屋ですね、今の東急、あそこがどちら…

木炭車の時代

はじめに。うろ覚え木炭車 戦中・戦後の文章に、しばしば出てくる「木炭車」。みなさん、どんなイメージをお持ちでしょうか?ちなみにこれは、私の母が描いた「木炭車」の記憶スケッチ。かなり曖昧だけど、なんとなく感じが伝わってきます。車のうしろに「木…

教文館の塔は、いつ消えた?

教文館の摩天楼? 敗戦から数年〜10年(1950年代)の写真をflickrで見ていたら、銀座の「和光」と「教文館」がうつっていました。 とても暗い写真だったのですが、明るさを調整しているうちに「塔」を発見したのです。Tokyo View | Japan, 1952-55 Photograp…

謎の映画館が、実は〇〇だった!

GINZAを名乗るナゾの映画館 ここ十数年ほど、私の趣味は敗戦間もない時期のカラー写真を見ることです。(進駐軍の子孫が、“ダッドやグランパが撮影した写真”としてネットにあげている)。 こないだ、「暖房完備」をうたっている映画館を見つけました。撮影は…

映画館いろいろ(1950年代のカラー写真から)

先日、新しくできたシネコンに行って驚きました。あまりに「倉庫」っぽい外観だったから!そのエリアはもともと倉庫が多いので、どれが倉庫だか、どれが映画館だかわかりゃしない(笑)。 今日は、倉庫とは真逆のハデめな映画館を紹介します。1950年代前半に…

空の港と、映画館

「港」と洋画の関係 漫画家の久保ミツロウさん(佐世保出身)が、ご自身のYouTubeで"港のあるところは洋画が入ってくるのが早い。米軍や自衛隊が観るから。佐世保は映画館が9つあった"と語っていて、なんだか説得力がありました。 ▽佐世保の映画館の例 Movie…

出来たての本願寺(獅子文六「浮世酒場」より)

出来立てホヤホヤの築地本願寺 獅子文六の「浮世酒場」(昭和10)は、酒場に集まった酔客が、東京ポッド許可局のように時事ネタしゃべりまくるスタイルの小説です。昭和10年の時事ネタなので、最新ニュースが"ハチ公の死"や"三原山心中"だったりするわけです…

【日本】子供が子供をおんぶする1950年代

おんぶされている赤ちゃんは、1980年にアラサー 1950年代前半、主にアメリカ人によって撮影された日本には「おんぶ」が沢山登場します。 ▽なぜ、1950年代に日本をうつしたカラー写真が大量にあるのかは、こちらをご覧ください narasige.hatenablog.com 先日…

おんぶ・ねんねこの時代

戦後、外国人によって撮影された写真には「おんぶ」が沢山登場します。被写体になりやすかった日本のベスト3は、以下のとおり(わたし調べ)↓ 1位「おんぶ」 2位「肥桶を運ぶ牛の車」 3位「霊柩車」 今回は、昭和のおんぶ写真をご紹介しますね。 ▽子供が子供…

焼きそばパーマの時代

戦争が終わると、すぐパーマ 敗戦間もない時期は、意外なほどパーマが爆発してます。獅子文六の昭和22年の短編『無頼の英霊』にも、田舎の娘たちが戦争が終わったとたんパーマをかけて「焼ソバのような総縮髪」になる話が出てきます*1が、この写真を見るとた…

昭和の割烹着(かっぽう着)姿を探してみました

ファミリーマートの「おかあさん食堂」のような割烹着(かっぽう着)姿を探してみた結果… 真っ白い割烹着、かっちりしたパーマ、マジメそうな着物……。ファミリーマートの「おかあさん食堂」は、古きよき昭和(と思われてる)イメージが盛り込まれています。…

街に牛がいる1950年代【肥桶・Honey Wagon】

道路にいる「家畜」が、ヘッドライドを浴びる?! 来年は、丑年。かつての日本は、「街の中」に牛や馬がいました。にわかには信じられないかもしれませんが、本当なんです。その様子がわかる文章を『竹頭帖』(宮田重雄/文藝春秋新社 1959)より紹介します*…

真っ赤な女の子達(1950年代)

全身、真っ赤な服の女の子たち 今日紹介するのは、1950年代前半の女の子たちです。敗戦から数年しかたっていないのですが、想像以上に服が真っ赤なんですよ。赤い!赤すぎる!ネットで見かけるたびに[Pinterest]にストックしてきたので、ここで一気にまと…

ちょっぴり写っている分離派

先日、パナソニック汐留美術館 「分離派建築会100年展」に行ってきました。旧朝日新聞社屋、京王閣、聖蹟記念館など、気になっていた建物がいっぱい!私は、1950年代のカラー写真をネットで集めているのですが、ときどき、旧朝日新聞社屋が少しだけ写り込ん…

「暖房完備」をアピールした時代

「暖房完備」が売りだった頃 昭和の広告を見ると、「冷房完備」を強調しているお店がありますよね。実は「暖房」も、けっこうアピールされていたようなのです。 たとえばこちらは銀座のティールーム、「純喫茶・白馬車」(昭和28-30頃)。この外観、当時はエ…

休憩所としての日本

戦場の看板「R&R」 1950年代前半(朝鮮戦争の時期)の日本を撮影したカラー写真が多数ネットにあがっています。しかし1950年代も後半になると、そのような写真はほとんど見かけません。一体、どのような経緯で撮影されたのでしょうか?以下、関連写真をご紹…

徳田ビル(パールハウス)

私は占領下の日本で撮影された写真を集めています。これは銀座の徳田ビル(パールハウス)。手前は、中央区の泰明小学校。 徳田ビル(flickrより) 私はこういうお洒落ビルを見ると「夏暑くて、冬寒そうだな」と、心配になってしまいます…。対外宣伝誌『NIPP…

「銀座二十四帖」をカラーで置き換えてみる

モノクロの「銀座二十四帖」(1955昭和30・川島雄三)を、カラーで置き換える遊びをしてみました。(「なぜ、この時代にカラー写真が沢山あるのか?」については「朝鮮戦争と聖路加病院」をご覧ください) narasige.hatenablog.com 肥桶の匂いからはじまる「…

東京温泉、日本の黒い霧など

松本清張「日本の黒い霧」に登場する"お風呂" お洒落な銀座のヒストリーにはまず出てこない施設「東京温泉」を紹介しましょう。場所は銀座6丁目で、GINZA SIX(旧・銀座松坂屋)の裏手あたりです。下の写真でいうと、ウェディングケーキのような形を中心とし…

お金持ちと、多摩川

私は学生時代の数年間、稲田堤〜登戸エリアの駅を利用していました。しかしどの駅も完全に通過地点。10代の女子の夢を何ひとつ満たしてくれない場所だったのです。 しかし、獅子文六の小説を読んでいたら稲田堤・稲田登戸エリアが"金持ちの別荘地から見える…

羽田空港と、半円形のサンルーム(獅子文六「胡椒息子」)

獅子文六『胡椒息子』に登場する羽田空港と、半円形のサンルーム “ヘリコプターで東京遊覧”ってバブリーな響きがありますが、獅子文六の『胡椒息子』(昭和13)には、金持ちの子供が「エア・タクシー」に乗って「東京の空の散歩」をこころみる場面があるんで…

朝鮮戦争・聖路加病院・立川基地

聖路加病院を外側と内側から見る プロインタビュアー・吉田豪さんが[芸能人の本を読む時は、同じ出来事を複数の本で読むと、立体的になってくる]とラジオで言っていました。例えば、ある宗教について「勧誘する側の芸能人が書いた本」と、「その人に勧誘さ…

有楽町「日劇」の外観で見る昭和【戦争から「来夢来人」まで】

私が幼かった頃、有楽町にとても不思議なビルがありました。ゴチャゴチャした外観で、側面には裸の女の人の看板もかかっていて…。(私は中央区育ちなので、どうしても目に入ってくるのです)。だから、そのビルが有楽町マリオンに建て替わったとき、正直ホッ…

城戸崎愛さんと、松本清張と。

戦火とドーナツと愛 (be文庫) 作者:由井 りょう子,城戸崎 発売日: 2004/06/18 メディア: 文庫 戦時中に女学生だった城戸崎愛さんの自伝です。野中モモさんの素晴らしい記事で知り、早速、購入しました。最近の私は松本清張脳になっているので(笑)、少女時…

避難に慣れている人たち(「宇宙人 東京に現る」感想その2)

小津映画で不満に思っている点があります。それは、戦争の痕跡が見えづらいということ! たとえば「彼岸花」(1958年・昭和33)。この映画には“戦争の時は大変でだったねえ”みたいなセリフが、一瞬あります。でも本当に一瞬。公開当時の観客は、全員が戦争体…

自動演奏・ウエストワールド

東京都中央区が出している「中央区の女性史」。中央区の年配女性(立場が色々!)の聞き取りで内容が濃いです!私も中央区出身の人間。少しずつ感想や情報をまとめていきたいと思います。 No.8「母から娘へ、銀座十字屋」銀座の老舗楽器店に生まれた女性の話…

舞鶴とスクラム

自由学校 (ちくま文庫) 作者:文六, 獅子 発売日: 2016/06/08 メディア: 文庫 獅子文六の小説「自由学校」に「舞鶴でスクラムを組む」という文章が出てきま す。以下、引用。 とにかく、これで、一安心… シベリアで抑留されたわが子が、舞鶴でスクラムを組ん…

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