「銀座二十四帖」をカラーで置き換えてみる

モノクロの「銀座二十四帖」(1955昭和30・川島雄三)を、カラーで置き換える遊びをしてみました。(1950年代初頭の時代背景は「朝鮮戦争と聖路加病院」に書きましたのでご覧ください↓)

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「銀座二十四帖」の公開は、終戦からちょうど10年。接収されていたビルが返還され、空襲で焼けた店の補修もすすみ、街の様子が急激に変わった頃です。(そう、「敗戦、即、復興!」とはいかないのです。あの歌舞伎座でさえ、戦後5年間は焼け落ちたままだったのですから…)

 

では、写真を紹介していきますね。

 

まず肥桶。「銀座二十四帖」のオープニングは、近郊の肥桶の匂いから始まるのです。(本当)

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花の仕入れ。主人公である花屋のコニー(三橋達也)が、花を運ぶイメージです。この時代の梱包はだいたい可燃物。

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コニーさんの花屋が入っているビル「東京温泉」のカラー写真はなかったのですが、外観のモノクロ写真と内部の様子を以前ブログにまとめました。ご覧ください。

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銀座の街並み。空襲を受けなかった松屋(TOKYO PX)をメインにして撮影すると、一見、復興と無縁そうな写真になります。※松屋は1952(昭和27)返還されるので、これは「銀座二十四帖」より少し前の写真です。

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新装後の松屋は1953(昭和28)オープン。改装前の方が重厚で素敵に見えますが、当時は(今も?)軽やかさが求められたのでしょう。

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松屋の屋上から下を見る。はじめこの写真を見たとき「どこかの街はずれかな?」と思ったのですが、拡大したら中央の建物に「教文館」の看板があるじゃないですか!!この風景は銀座のオモテ通りなのでした…。通りに面する部分だけ体裁を整えている店舗がみえます。

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 三越銀座三越も、なんだか重厚さに欠けるように思えますが…(下に続く)

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空襲を受けた銀座三越は、この状態からスタートしたのでした…。大変でしたね。*1

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街並み その2 。左奥に見える高い建物の場所には、現在、東急プラザ銀座があります。(旧・数寄屋橋阪急)

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銀座4丁目交差点。「銀座二十四帖」では、通行人でさえ細いウエストでしたが、実際は、まあ、こんな感じでしょう。

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銀座4丁目交差点から、晴海方面を見る。東劇を右に曲がったあたりに、美しい京極和歌子さん(月丘夢路)のお店があります。空襲で焼け落ちた歌舞伎座が数年後に再開するまで、歌舞伎は東劇でやっていました。

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喫茶 白馬車。「銀座二十四帖」の夜のシーンで、「SHIROBASHA」というネオンが登場します。写真を拡大すると割烹着・エプロンのおばさん達がうつっているのがわかります。

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松坂屋の屋上から見た銀座です。クライマックスのシーンに、繰り返し登場するナショナルと森永の看板。

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 ナショナルのネオン

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数寄屋橋 ピカデリー 。クズ拾いの人が寝ています。この場所は「銀座二十四帖」でも、似たような感じの人が座り込んでいました。パッとみた感じでは、①クズ拾いの人が、②松竹ピカデリー のすぐ前で寝転んでいるように見えますが…(下に続く)

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空から見るとこんな感じ。実は、①クズ拾いの人と、②松竹ピカデリー の間には、川(堀)があるのでした…。その後、川は埋め立てられ西銀座デパートになります。(私は中央区出身なので、子供の頃は西銀座デパートが東京の果てだと思っていた。)

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 「銀座二十四帖」のラスト近くでは、「ふんぷんたるドブ川の臭気は、映画にはうつっておりません」という森繁のナレーションが入ります。 「銀座二十四帖」は、肥桶の匂いではじまり、ドブ川の匂いで終わる映画なのですね!

 

【おまけ】銀座のキャバレー、クイーンビーケネディ大統領暗殺事件のオズワルドが利用したとされる店です。先日のNHKスペシャルでもこの写真を使っていたと記憶しています。(クイーンビーの資料が少ないため、NHKから辺境ブログの私にまで問い合わせがあったくらいなので)。日本人客は入れないそうですが、花売りのコニーさんなら入れたのでしょうか。

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*1:マッカーサーの見た焼跡」より