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振袖と、土着人

奇妙な青春 (1979年) (集英社文庫)

奇妙な青春 (1979年) (集英社文庫)

敗戦直後、占領軍と日本の上流階級の間に繰り広げられる、“薄ら暗い取引”(←聖☆おにいさん*1)が描かれている小説です。


舞台は焼け野原の東京。「新橋ホテル」では土曜ごとにアメリカ人の豪華なパーティーが行われ、日本の華族・皇族・財閥が集っている。でも当時、アメリカ人が日本人を招待することは禁止されていたそうです。じゃあ、どうやってパーティーの形にもっていくかというと、日本の「土民」や「土着人」が「米人が喜びそうなスーヴェニヤの即売会を催す」という無理な名義で、うまいこと抜け道を作っているのでした。


「土着人」(←皇族、華族のことですけれど)の女性達は、疎開先から取り戻した華美な振り袖や、けばけばしいドレスを着てパーティーに出席し、戦後の世界を生きるために踏ん張ります。

「今晩ね、あの皇族さんと、ほら、このあいだのあの背の高いアメさん(アメリカ人のこと)、テーラーとかいうゼネラルをとりもってよ。」


「あの殿下ね、来年2月に臣籍降下しなくちゃならない“くち”だから、何かね、相談事があるらしいの」

………そんな、豪華だけど「毒に汚れたような」ホテルの外は、凄まじい飢えと寒さの世界!!!米人の食べ残したホテルの残飯は「キリスト教関係の慈善団体であると称する者」が争って奪っていく…


■↑こういう米人の高カロリー残飯は、闇市で特濃シチュー(獅子文六のいう「動物性のシルコ」)に変身するのかもしれません。


■ちなみに画像は、敗戦直後の銀座で大きな建物は和光です。銀座の中心なのに、まるで荒れたアパートの「粗大ゴミの日」のようだ。【拡大画像

*1:ブッダがパン祭りの皿をもらうためにスタンプためてるシーン。 “イエス、メロンパンとか食べたくない?” “ええ、まあ、300円分なら”

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