佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

戦争の周辺

綴方教室と、獅子文六の「団体旅行」

映画「綴方教室」と、獅子文六の「団体旅行」 昭和13年の雑誌を見ていたら、映画「綴方教室」の作者、豊田正子が出ていました。当時17歳くらい。ふっくらと愛らしい顔立ちです。 豊田正子は「綴方教室」で有名になった人。そして、獅子文六の短編『団体旅行…

非常時と、獅子文六『金色青春譜』

獅子文六『金色青春譜』は、贅沢と非常時のミルフィーユ 昭和の人気作家・獅子文六のデビュー作「金色青春譜 (昭和9年/ちくま文庫) 」は、大金持ちの未亡人と、ケチな美男のラブコメです。 カタカナの贅沢品がどっさり出てきて楽しい!たとえば2ダースのシ…

10代の原節子「新しき土」

原節子16才。日独合作映画「新しき土」の撮影風景 ホームライフ 昭和11年(1936)8月号より、日本とドイツの合作映画「新しき土」の撮影風景です。原節子は1920年生まれなので、この時16歳くらい。パッと見たかんじ、16歳には見えませんよね?(映画の中では…

新興国 満洲へ

失恋したら満洲へ みんな大好き獅子文六「悦ちゃん」(昭11)から、悦ちゃんのパパ「碌さん」が失恋した時のシーンです。満洲行きは、当時の失恋あるあるだったのでしょうか。 実際、碌さんは、病人のようになった。(略)女に嫌われて、そんな反応を起こす…

ポール・ジャクレー の記事(昭和13年の雑誌から)

「仏人画家ジャクレー 氏」 昭和13年の雑誌にフランス人の画家ポール・ジャクレーが出ていました。この時、36歳。 ホームライフ (大阪毎日新聞社)昭和13年4月号 蝶の蒐集と、和服 昆虫採集は台湾新高山で採取した異型蝶にジャクレチーといふ学名を持ち、世…

女給が出征?(獅子文六『女給双面鏡』)

獅子文六「女給双面鏡」と出征 獅子文六の『女給双面鏡』(昭和13)は、大島弓子の「つるばら つるばら 」を連想させる作品です。内容はかなり違うけど。 主人公は、幼い頃から女の子に間違えられてきた青年。彼はどの仕事をやってもうまくいきません。仕方…

獅子文六と「ス・フ」(ステープル・ファイバー)

獅子文六の「ス・フ」ネタ みんな大好き獅子文六。 獅子文六がユーモア作家としてブレイクした途端に、世の中は戦争モードになりました。なので、初期の作品中に「ス・フ」=ステープル・ファイバーがたびたび登場するんです。しかも“ここが、笑うポイントで…

「団体旅行」(獅子文六)

獅子文六が描く戦時下の団体旅行 一応、時局に遠慮する 成金令嬢の苦悩 参考画像 下駄と旅行 獅子文六が描く戦時下の団体旅行 獅子文六「団体旅行」(昭和14)(断髪女中 ──獅子文六短篇集 モダンガール篇 収録)は、戦時下の団体旅行を舞台にしたコメディで…

フラフラと大島へ(獅子文六「浮世酒場」を読んで)

昭和10年の時事ネタトーク 獅子文六の小説「浮世酒場」(昭和10)が、金色青春譜 ――獅子文六初期小説集 (ちくま文庫)に入るそうです!嬉しい!「浮世酒場」は酔った客が東京ポッド許可局のようにしゃべりまくるスタイルの作品です。すごく時事ネタが多いので…

虫そのもののブローチ(昭和14年)

国防婦人におすすめ!昆虫そのもののアクセサリー こちらは昆虫モチーフではなく、虫そのものを特殊加工した「ツノクワガタのヘアーネットピン」。「戦車の鍬形虫は、国防婦人に見るからに興趣つきせぬものがある」とありました。うーん、編み目にひっかかり…

海外公演「宝塚海を渡る 盟邦ドイツ・イタリーへ文化の使節」

宝塚の海外公演 昭和13年ドイツ・イタリーへ 「宝塚 海を渡る 盟邦独伊へ文化の使節」という海外公演の記事をご紹介します。(昭和13年11月大阪毎日新聞社「ホームライフ」 )。出発に向けて大忙しの様子が伝わってくるようです。 盟邦独伊への文化使節宝塚…

休憩所としての日本

戦場の看板「R&R」 1950年代前半(朝鮮戦争の時期)の日本を撮影したカラー写真が多数ネットにあがっています。しかし1950年代も後半になると、そのような写真はほとんど見かけません。一体、どのような経緯で撮影されたのでしょうか?以下、関連写真をご紹…

レコード会社の生き残り大作戦(獅子文六『東京温泉』)

軍歌で当てたレコード会社(獅子文六『東京温泉』) 獅子文六の小説『東京温泉』(昭14)には、戦時中のレコード会社が登場します。※この「東京温泉」は、戦後銀座に出来た「東京温泉」とは無関係です。 そのレコード会社は、たまたま軍歌が大ヒットしたとい…

「銀座二十四帖」をカラーで置き換えてみる

モノクロの「銀座二十四帖」(1955昭和30・川島雄三)を、カラーで置き換える遊びをしてみました。(「なぜ、この時代にカラー写真が沢山あるのか?」については「朝鮮戦争と聖路加病院」をご覧ください) narasige.hatenablog.com 肥桶の匂いからはじまる「…

変わる変わるよ、フェーズは変わる

私は、戦中・戦後のことをチマチマ調べていますが、以前は、そんなもの一切知りたくない人間でした。親が戦時中に疎開していた世代なので、子供たちに昔の苦労を語り「それにひきかえ、恵まれたお前達は…」と説教するからです。 そんな私が変わったのは、10…

庭園美術館と防空壕と。

新型コロナによる緊急事態宣言が解除されたので、かねてから行きたかった庭園美術館で「東京モダン生活 東京都コレクションにみる1930年代」を見てきました。 そして、敷地の一角にある防空壕をチェック。防空壕は3箇所あるそうです。そう!1933年竣工の朝香…

長谷川町子さん、翼賛一家

長谷川町子さんの「翼賛一家 大和さん」。たまたま、最終回がのっているアサヒグラフを持っていたので、のせておきます。(昭和16年5月14日号。) この時、町子さん21歳。長谷川町子美術館に、詳しい年表があります。 対談やエッセイをまとめた長谷川町子思…

駅弁売りが隠れる時代(宮脇俊三『時刻表昭和史』より)

戦時中の駅弁売り 「浮かれているように、駅売駆け歩き」(宮尾しげを「現代漫画大観・川柳漫画」昭和3年より) 昭和3年の駅弁は、浮かれているような動作で売られていたのですね。 しかし戦争が激しくなってくると、駅弁売りは柱の陰に隠れていたそうです。…

東京行進曲・モスコー行進曲

獅子文六の「浮世酒場」(昭和10年「新青年」連載)には、シベリア帰りの男が酒場で、クレムリンやモスコーでの経験を虚実とりまぜて話すシーンがあります。以下引用。 「非常時どころか、ジャズで踊って、ウオッカで更けて、明けりゃ闘士の涙雨という、モス…

道しるべとしての富士山

maraudersREVsmall pixel | mike skidmore | Flickr 獅子文六が、敗戦後、読売新聞の誘いで「平和号」という飛行機に乗った時のエッセイに、"道しるべ"としての富士山が出てきました。 じきに駿河湾。バカにならぬ景観である。富士山はどうしても、日本本土…

羽田空港と、半円形のサンルーム(獅子文六「胡椒息子」)

獅子文六『胡椒息子』に登場する羽田空港と、半円形のサンルーム “ヘリコプターで東京遊覧”ってバブリーな響きがありますが、獅子文六の『胡椒息子』(昭和13)には、金持ちの子供が「エア・タクシー」に乗って「東京の空の散歩」をこころみる場面があるんで…

ヒリヒリする「ユーモア小説」

久しぶりに、獅子文六の「南の風」を読み返しました。 南の風 (朝日文庫) 作者:獅子文六 発売日: 2018/06/07 メディア: 文庫 「南の風」の裏表紙に「幻のユーモア小説」とありますが、これ、新型コロナの時代に読みかえすと、けっこうキツい。以前は、フンフ…

国民服の着こなし

国民服の広告(昭和16年5月のアサヒグラフ)です。「国民服」「興亜の晴衣」とはいうものの、イラストは、彫りの深そうな、10頭身の人が着ていますね。昭和15年11月に国民服令が出たので、ちょうと半年たったころでしょうか。 実際に、着ている写真をのせま…

昭和11年(1936)の古関裕而

昭和11年4月号(1936)の雑誌「ホームライフ」に出ていた広告です。コロムビアレコードの軽量蓄音機。軽量をアピールするためか、若い女性がしなやかに踊っています。 左側の新譜欄に、古関裕而の名前が〜。 古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家 (文春新…

古関裕而と、国境の地名

古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家 (文春新書) 作者:真佐憲, 辻田 発売日: 2020/03/19 メディア: 新書 古関裕而 の本を読んでいます。軍歌のヒットを飛ばした小関が、1939(昭和14)満洲を視察する様子に興味津々。中でも、小関が自伝の中で"朝鮮の地名…

獅子文六「虹の工場」

獅子文六『虹の工場』を映画化するなら、主役はピーターラビットの「トーマス・マクレガー」さんで 映画「ピーターラビット」を食わずぎらいしていました。どうせ可愛いウサギとこぎれいな白人の映画でしょ?と思っていたのです。しかし見てみたら、こぎれい…

有楽町「日劇」の外観で見る昭和【戦争から「来夢来人」まで】

私が幼かった頃、有楽町にとても変なビルがありました。ゴチャゴチャした外観で、側面には裸の女の人の看板もかかっていて…。(私は中央区育ちなので、どうしても目に入ってくるのです)。だから、そのビルが有楽町マリオンに建て替わったとき、正直ホッとし…

城戸崎愛さんと、松本清張と。

戦火とドーナツと愛 (be文庫) 作者:由井 りょう子,城戸崎 発売日: 2004/06/18 メディア: 文庫 戦時中に女学生だった城戸崎愛さんの自伝です。野中モモさんの素晴らしい記事で知り、早速、購入しました。最近の私は松本清張脳になっているので(笑)、少女時…

近衛内閣とキャサリンヘップバーン

私は洋画に詳しくありません。なので、キャサリン・ヘップバーンもカトリーヌ・ドヌーブもブリジッド・バルドーも、いっしょくたに「昔の人」「お洒落の手本にされる人」でくくっていました。下の写真は映画「旅情」です。もう!永遠のお洒落さんですね。 キ…

国境の観光、鴨緑江節

▼これは昭和3年の「現代漫画大観・日本巡り」に出てくる朝鮮「新義州」のページ。昭和3年の本なので「日本巡り」に朝鮮・台湾・樺太などが出てくるのです。日本の名所として鶴ヶ岡八幡宮(鎌倉)と、ピョンヤン(朝鮮)が同じ本に紹介されている本‥。 解説の…

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