佐藤いぬこのブログ

戦争まわりのアレコレを見やすく紹介

庭園美術館と防空壕と。

新型コロナによる緊急事態宣言が解除されたので、かねてから行きたかった庭園美術館で「東京モダン生活 東京都コレクションにみる1930年代」を見てきました。 そして、敷地の一角にある防空壕をチェック。防空壕は3箇所あるそうです。そう!1933年竣工の朝香…

長谷川町子さん、翼賛一家

長谷川町子さんの「翼賛一家 大和さん」。たまたま、最終回がのっているアサヒグラフを持っていたので、のせておきます。(昭和16年5月14日号。) この時、町子さん21歳。長谷川町子美術館に、詳しい年表があります。 対談やエッセイをまとめた長谷川町子思…

駅弁売りが隠れる時代(宮脇俊三『時刻表昭和史』より)

戦時中の駅弁売り 「浮かれているように、駅売駆け歩き」(宮尾しげを「現代漫画大観・川柳漫画」昭和3年より) 昭和3年の駅弁は、浮かれているような動作で売られていたのですね。 しかし戦争が激しくなってくると、駅弁売りは柱の陰に隠れていたそうです。…

若い女性の集団と「水兵さん」「在郷軍人さん」

昭和12年7月号のホームライフ 。この号は、若い女性の集団と「水兵さん」「在郷軍人さん」が一緒にうつっている特集が2つ。(この雑誌を何冊か持っていますが、その前の号までそういう特集は見かけませんでした。とにかく、お花がきれい・お庭がきれい・ハイ…

関東大震災前の地図で、タイムトラベル

大正7年(1918)の観光地図 これは、大正7年(1918)の観光地図だそうです。 flickrより 築地市場がないのに、万世橋はある地図 はじめ見たとき「ああ、敗戦後に作られた進駐軍用の観光マップね」と思いました。しかし拡大してよく見ると「あれ、晴海がない…

ブルーインパルス、陸軍戸山学校軍楽隊

小津映画と、ブルーインパルス 河野大臣とブルーインパルスについて、賛否両論が巻き起こっていましたね。 www.asahi.com 「ブルーインパルス」で検索していたら、行進曲「ブルーインパルス」があることを知りました。作曲者・斎藤高順は、小津映画の音楽(…

特撮に出てくる本棚

昭和30年代の特撮に出てくる事務所の本棚や机が好きです。ほとんどが木製だから。現在ならスチールであるはずのオフィス家具が、当たり前のように木製なんですよね。 これは「美女と液体人間」(昭和33・1958)に出てくる研究室の本棚。ガラス戸と引き出し部…

お金持ちと、多摩川

私は学生時代の数年間、稲田堤〜登戸エリアの駅を利用していました。しかしどの駅も完全に通過地点。10代の女子の夢を何ひとつ満たしてくれない場所だったのです。 しかし、獅子文六の小説を読んでいたら稲田堤・稲田登戸エリアが"金持ちの別荘地から見える…

東京行進曲・モスコー行進曲

獅子文六の「浮世酒場」(昭和10年「新青年」連載)には、シベリア帰りの男が酒場で、クレムリンやモスコーでの経験を虚実とりまぜて話すシーンがあります。以下引用。 「非常時どころか、ジャズで踊って、ウオッカで更けて、明けりゃ闘士の涙雨という、モス…

道しるべとしての富士山

maraudersREVsmall pixel | mike skidmore | Flickr 獅子文六が、敗戦後、読売新聞の誘いで「平和号」という飛行機に乗った時のエッセイに、"道しるべ"としての富士山が出てきました。 じきに駿河湾。バカにならぬ景観である。富士山はどうしても、日本本土…

羽田空港と、半円形のサンルーム(獅子文六「胡椒息子」)

獅子文六『胡椒息子』に登場する羽田空港と、半円形のサンルーム “ヘリコプターで東京遊覧”ってバブリーな響きがありますが、獅子文六の『胡椒息子』(昭和13)には、金持ちの子供が「エア・タクシー」に乗って「東京の空の散歩」をこころみる場面があるんで…

朝鮮戦争・聖路加病院・立川基地

聖路加病院を外側と内側から見る プロインタビュアー・吉田豪さんが[芸能人の本を読む時は、同じ出来事を複数の本で読むと、立体的になってくる]とラジオで言っていました。例えば、ある宗教について「勧誘する側の芸能人が書いた本」と、「その人に勧誘さ…

ヒリヒリする「ユーモア小説」

久しぶりに、獅子文六の「南の風」を読み返しました。 南の風 (朝日文庫) 作者:獅子文六 発売日: 2018/06/07 メディア: 文庫 「南の風」の裏表紙に「幻のユーモア小説」とありますが、これ、新型コロナの時代に読みかえすと、けっこうキツい。以前は、フンフ…

馴染みのない美意識

昔の絵葉書を見ていたら、謎の賑やかさに出会いました。昭和3年(1928)に上野公園で行われた博覧会で、エネルギーが爆発している感じ、金をかけてる感じが伝わってきます。しかし、まあ、馴染みの薄いタイプの美意識です。「なぜか懐かしい」「どこか懐かし…

かっこいい店と、現実と。

昭和4年(1929)頃のカッコいい商業美術の本です。 letterformarchive.org ↓左は真っ白な果物店。まるで現在のタカノフルーツパーラーや千疋屋みたいですね。今から90年前とは思えません。右はお洒落なスポーツ用品の店です。ショウウィンドウを覗き込む親子…

国民服の着こなし

国民服の広告(昭和16年5月のアサヒグラフ)です。「国民服」「興亜の晴衣」とはいうものの、イラストは、彫りの深そうな、10頭身の人が着ていますね。昭和15年11月に国民服令が出たので、ちょうと半年たったころでしょうか。 実際に、着ている写真をのせま…

昭和11年(1936)の古関裕而

昭和11年4月号(1936)の雑誌「ホームライフ」に出ていた広告です。コロムビアレコードの軽量蓄音機。軽量をアピールするためか、若い女性がしなやかに踊っています。 左側の新譜欄に、古関裕而の名前が〜。 古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家 (文春新…

古関裕而と、国境の地名

古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家 (文春新書) 作者:真佐憲, 辻田 発売日: 2020/03/19 メディア: 新書 古関裕而 の本を読んでいます。軍歌のヒットを飛ばした小関が、1939(昭和14)満洲を視察する様子に興味津々。中でも、小関が自伝の中で"朝鮮の地名…

Jからはじまるラジオ局

ペトロフ事件 鬼貫警部事件簿 (光文社文庫) 作者:鮎川 哲也 発売日: 2019/09/27 メディア: Kindle版 大連を舞台にした推理小説に、大連のラジオ局は「日本と同じようにJの字がつく」という文がありました。引用しますね、 大連放送局は関東州にあるので、日…

前川千帆が描く未来人

約90年前に描かれた未来 新型コロナ対策でステイホームしなくてはならない2020年。ツライですね。しかし昔の人にとっては、家に「居ながらにして色々できる」生活が、憧れだったようです。 今日は、版画家・漫画家の前川千帆(1988-1960)が予想した未来のラ…

獅子文六「虹の工場」

獅子文六『虹の工場』を映画化するなら、主役はピーターラビットの「トーマス・マクレガー」さんで 映画「ピーターラビット」を食わずぎらいしていました。どうせ可愛いウサギとこぎれいな白人の映画でしょ?と思っていたのです。しかし見てみたら、こぎれい…

有楽町「日劇」の外観で見る昭和【戦争から「来夢来人」まで】

私が幼かった頃、有楽町にとても変なビルがありました。ゴチャゴチャした外観で、側面には裸の女の人の看板もかかっていて…。(私は中央区育ちなので、どうしても目に入ってくるのです)。だから、そのビルが有楽町マリオンに建て替わったとき、正直ホッとし…

エレベーターのある団地・汽車の音

これは、不穏で大好きな写真です!UR 都市機構より 荒涼とした風景と着物の組み合わせが、「ウルトラセブン」の第四惑星の悪夢みたい。 団地の側面に15って書いてありますよね。この晴海の15号棟は前川國男が手がけていて、当初は高級な存在だったのです。今…

川崎大師と穴守稲荷

長谷川時雨の「東京開港」にこんな文がありました。 「若い時、というより、あたしたち、小娘時代に、川崎へいって、穴守へいって、帰りに品川まで早船へ乗ったことを。夕潮が高くって、みんな、大人は酔っぱらったのに、私もあなたも平気でしたろう。船が好…

城戸崎愛さんと、松本清張と。

戦火とドーナツと愛 (be文庫) 作者:由井 りょう子,城戸崎 発売日: 2004/06/18 メディア: 文庫 戦時中に女学生だった城戸崎愛さんの自伝です。野中モモさんの素晴らしい記事で知り、早速、購入しました。最近の私は松本清張脳になっているので(笑)、少女時…

近衛内閣とキャサリンヘップバーン

私は洋画に詳しくありません。なので、キャサリン・ヘップバーンもカトリーヌ・ドヌーブもブリジッド・バルドーも、いっしょくたに「昔の人」「お洒落の手本にされる人」でくくっていました。下の写真は映画「旅情」です。もう!永遠のお洒落さんですね。 キ…

レトロなガソリンスタンド

横浜の博物館で購入した「復刻 よい子の交通双六」 昭和20年代、横浜市警察が交通安全のために子ども向けに作成したものだそうです。なんとなく見ていたら、ガソリンスタンドにCALTEXの文字が。 拡大するとこんな感じ。スゴロク全体の戦前感に比べて、ここだ…

国境の観光、鴨緑江節

▼これは昭和3年の「現代漫画大観・日本巡り」に出てくる朝鮮「新義州」のページ。昭和3年の本なので「日本巡り」に朝鮮・台湾・樺太などが出てくるのです。日本の名所として鶴ヶ岡八幡宮(鎌倉)と、ピョンヤン(朝鮮)が同じ本に紹介されている本‥。 解説の…

避難に慣れている人たち(「宇宙人 東京に現る」感想その2)

小津映画で不満に思っている点があります。それは、戦争の痕跡が見えづらいということ! たとえば「彼岸花」(1958年・昭和33)には、“戦争の時は大変でだったねえ”みたいなセリフが、一瞬あります。公開当時の観客は、全員が戦争体験者。だから短いセリフで…

畳と宇宙人(「宇宙人 東京に現る」感想その1 )

昭和の特撮好きの人に強くすすめられて、渋々みた「宇宙人 東京に現る」(昭和31 年・1956)。 カラー映像が美しいし、見て本当によかった。 まず、日本的な風景の中からいきなり宇宙人が出てくるのが良い!小津映画などで、お嬢様が畳の部屋でソックスはい…

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